美弦(みつる)をライバルに、この(恋の)物語はどこへ向かうのか? 今回の『であいもん』第9話のレビューで、そのあたりを探ってみましょう。
『であいもん』 第9話 概要

『であいもん』は和菓子屋を舞台にした、日常系・グルメ系・ドラマ系のアニメです。10年ぶりに帰郷したある男が、病気で入院したとされる父の跡を継ぐことに。
しかし、そこで働いていたのは、誰もが跡継ぎと認める若い女の子だったのです。アニメでは、この京都の伝統的なお菓子屋さんでの、彼らの日常的なやりとりや今(第9話)に至るまでの様々な出来事が描かれています。
原作は浅野りんによるマンガです。
アニメ化は、『えとたま』『ひとりじめマイヒーロー』『異世界チート魔術師』など多くのアニメを制作してきたエンカレッジフィルムズが担当しています。
監督に『セントールの悩み』『えとたま』の追崎 史敏、シリーズ構成に『ブルーピリオド』『聲の形』の吉田 玲子、キャラクターデザイン・総作画監督に『ガールフレンド(♪)』『鋼の錬金術師』などの渋谷 秀を迎えて制作されています。
ー 『であいもん』 第9話レビューにはネタバレが含まれません ー
『であいもん』 第9話レビュー-今までの旅路!
物語が進むにつれて、主要な登場人物の恋愛も進展しています。前回の『であいもん』では、特に和と佳乃子、二人の関係の始まりと進展、そして別れに焦点を当てました。
一見、唐突な別れ方ですが、2人とも互いに恨んでいるわけではなく、どうやら誤解による別れだったという線が固まってきています。佳乃子はそのことに気づいているようだし、周囲もそう思っているようです。しかし、主人公の和は相変わらず鈍感です。
前話が終了してから数ヶ月後に始まる『であいもん』 第9話。ハロウィンから、クリスマスの到来までの出来事を目の当たりにすることになります。
日本では、クリスマスは宗教的な観点よりも、雪や年末年始、そして若いカップルの恋愛的な意味合いのお祭りとして捉えられていることが多いようです。偶然にも、クリスマスとロマンスのプロットが同時進行しているのです。見事な脚本と言わざるを得ません。
今回の『であいもん』は、これまで描かれてきた様々なプロットを織り交ぜています。緋色(ひいろ)の面白おかしく偏った師匠への献身と「完璧主義」、 咲季(さき)の女装癖とその聞き耳。そして和と今は亡き祖父との心温まる思い出が映し出されます。
それに伴って、いつもの和のトレードマークである、軽快なコメディシーンもありました。今回は、一果(いつか)の母も登場しましたが、神経質なところはあまり変わっていないようです。
『であいもん』第9話では、またまた恋の三角関係が復活! その原因は、他でもない、和自身なのです。それなのに当の本人はと言えば、相変わらずの鈍感っぷり。
これは極めて面白いです。というのも、通常は、和のキャラクターは人の気持ちにとても敏感で、(悩んでいる)他人に親身になってくれるキャラクターとして描かれているからです。
佳乃子が自分の本心を受け入れて、10代の美弦と張り合おうとする姿は、しばしば笑いを誘います。
冬の最初のエピソードということで、季節がよく表現されていました。雪をイメージしたカラフルな背景美術から、登場人物の衣装まで、すべてが12月の到来を告げています。物語の進行という意味では、プロットは進んでいませんが、むしろこれまでの物語をまとめて一息つくと言ったところでしょうか。
また、今回はいつものエンディングテーマに代わって和の歌が聞けるという、クリスマスらしい特典もありました。
総括
クリスマスの雰囲気とこれまでに登場した多数のキャラクターを伴って、『であいもん』第9話は、一息ついてこれまでの出来事を振り返るという事で、気持ちよく見ることができる良い回でした。