アニメのジャンルやカテゴリーは、初心者かどうかにかかわらず、分かりにくいものです。
ShonenとShoujoからSeinenとJoseiまで、アニメのジャンルや分類は、Isekaiなど聞いたこともないようなアニメのサブジャンルもあり、新しいファンではなくとも、混乱することがあります。
この記事では、日本のアニメの各カテゴリーとその内容を説明します。
Shonenとは何か?
「Shōnen」は、日本語で男の子を意味します。Shonenは、ここで説明する他の多くのカテゴリーと同様に、それ自体がジャンルというわけではありません。
むしろ、(商業的に)意図する層と、その層に向けたマーケティング(この場合は少年)を説明するものです。
ただし、Shonenアニメが男の子向けだけのものであるという意味ではありません。これはShoujoアニメが女の子だけのものでないのと同じことです。(もしそれぞれのジャンルが特定の層だけのものだったとしたら)21世紀において、それは単純すぎでしょう。
Shonenは、単にターゲットとなる層を表現しているのであって、全体の層を表現しているわけではないのです。
「Shonen」は、12歳前後から10代後半までの少年を対象としたマンガやアニメを指します。
しかし、この言葉はあくまでも層を表すものですが、いくつかのシーンを見ただけで「少年」と思わせるような特徴がないとは言い切れません。
マンガが特定の性別をターゲットにするようになったのは20世紀初頭の頃で、かなり前までさかのぼりますが、少年マンガやアニメが今日のような形をとるようになったのは、第二次世界大戦後しばらくしてからです。
そのためか、手塚 治虫の『どろろ』のように、戦で荒れ果てた状況を舞台にした少年マンガが多く、戦闘も定型化されているのが特徴です。
現代では、『NARUTO』や『ワンピース』のような大作から『鋼の錬金術師』のような名作、さらには『黒執事』のような耽美的な作品まで、さまざまな例があります。
少年マンガでは、若い男性が主人公で、何らかの魔法や武術を修め、自分を高めようと努力することが多いのですが、全ての作品が必ずしもそうとは限りません。
例外もあることを念頭に置いてください。結局のところ、ある作品がShonen足らしめていることは、何よりもまず、その作品がどのようにマーケティングされたかという事と、その作品が最初に登場したのはどこか(どのマンガ雑誌)ということなのです。
例えば『約束のネバーランド』は、主人公の女の子に導かれる子どもたちの物語ですが、少年誌(週刊少年ジャンプ)に連載されたものなので、やはり少年マンガです。
多くの少年マンガは楽観的な人間観を採用する傾向にありますが、もちろん例外もあります。
少年マンガ『鋼の錬金術師』の最初のアニメ化は、後に制作された第2期よりもかなり暗い内容でした。『呪術廻戦』はShonenとして販売されてはいますが、ホラー要素が強すぎてShonenの範疇には収まらないとする意見もあります。
しかし、世の中が進み、ファンの嗜好が変われば、Shonenはさらに多様化し、少年が強くなりたいとただ叫ぶだけではなくなると思われます。
あと、ShonenをBoys Love(BL)アニメと混同しないでください。BLは、男性キャラクター同士の恋愛関係や隠された性格の描写を特徴とする作品を指すものであり、必ずしも「少年」とは限りません。
Seinenとは何か?
同じ様に、「Seinen」とは、日本語で青年を意味します。Shonenがターゲットとする年齢層よりも高い年齢層の男性、つまり18歳から45歳くらいまでの男性を指すことがほとんどです。
繰り返しになりますが、Seinenを楽しむのは男性だけというのは単純過ぎです。
やはり、『残響のテロル』『東京喰種トーキョーグール』『ベルセルク』などの Seinen作品は、Shonenで描かれる高度に様式化された戦闘シーンに比べ、より短く、より抑制されたスタイルであることが多いです。
ですから、多様なSeinen作品がある中で、もし作品の扱っているテーマが好きな大人なら、誰でも楽しめるのがSeinen作品だと言ったほうが、より包括的でしょう。
全体的に、Seinenはより暗く、暴力的なストーリーが多いようです。また、Shonenに比べて鬱展開が多く、楽観的なだけの、ハッピーエンドで終える作品は無いと言っていいでしょう。
多くのSeinen作品は、対象年齢と同じぐらいの男性が主人公ですが、すべての作品がそうとは限りません。場合によっては、あるマンガがSeinenに分類されることに驚くかもしれません。
『ローゼンメイデン』がそのような例で、この作品は、アンティークドール・球体関節人形が製作者の愛を求めて戦うという、ホラー要素も含んだファンタジー作品です。
一方、『魔法少女まどか☆マギカ』のようにShoujoの固定観念を激しく破壊する作品は、あまりに暗いため、原作サイドがそう分類していないにもかかわらず、ファンからはSeinenと見なされているのです。
Shoujoとは何か?
Shoujoは、マーケティングとしてはShonen層の正反対となります。Shoujo作品は、12歳くらいから10代後半くらいまでの女の子をターゲットにしています。
Shonenと同じように、少女マンガやアニメ、そしてそのファンを表現するときに、Shoujoという言葉だけでは不十分だということを心に留めておいてください。
Shoujo作品は、ファンタジー、恋愛、歴史小説など様々なジャンルがあり、少女だけが楽しむものではありません。『フルーツバスケット』のような日常系Shoujoアニメは、主に日々の生活について描かれており、誰にでも親近感を抱かせることができます。
若い女性向けのマンガは、1900年代に登場しました。
しかし、第二次世界大戦後になって、この時代少年たちが楽しんでいたと思われる戦闘描写の様式化などに触発されたのか、 少年マンガが隆盛を極めたのに対し、少女マンガは、1970年代になるまでは日の目を見ませんでした。
1970年代、『ベルサイユのばら』や『キャンディ・キャンディ』のような女性作家や女性マンガ家が象徴的な作品を生み出したことで、少し活性化しました。
Shonenと同様に、Shoujoもまた、特定のスタイルと結び付けられるようになっていきました。パステルカラーや落ち着いた色調を基調とし、柔らかで広く大きな目が特徴となるスタイルです。『君に届け』『桜蘭高校ホスト部』『暁のヨナ』など、女性を主人公にした作品が多いです。
Shoujoというと、Shonenのような派手な戦闘物ではなく、人間関係や日常的な出来事を連想しがちですが、必ずしもそうとは限りません。
80年代から90年代にかけては、『美少女戦士セーラームーン』や『少女革命ウテナ』など、友達や恋人がいながら世界を救う、戦う女の子を描いたアニメが増えました。
アニメの全てのカテゴリーに共通することですが、いくつかの作品がShoujoというカテゴリーに分類される事に驚かれる方もいるかもしれません。
悪名高い例では、『バナナフィッシュ』がそうですね。このアニメは、他の恐怖も描きつつ、ギャングによる暴力、ドラッグ、性的虐待などを特に描いていますが、少女雑誌に連載されていたため、あるいは主人公2人の心温まる関係のため、Shoujoに分類されました。
ボーイズ・ラブがShonenではないように、ガールズ・ラブもShoujoとは違います。ガールズ・ラブは女の子同士の恋愛関係や隠された性格を表現する言葉です。この恋愛ジャンルは、別名、 yuri(百合)アニメとも呼ばれています。
Joseiとは何か?
Joseiは、マンガやアニメを特定の性別や年齢層に向けたマーケティング手法であり、今回は18歳から45歳の成人女性を対象としたものです。
JoseiはSeinenの女性バージョンと言えますが、もちろんJoseiだからといって女性しか楽しめないわけではありません。
Joseiのアニメやマンガは、欧米ではあまり知られていない傾向があります。それは、一部の人がJoseiを「大人のShoujo」に過ぎないと考えていることが主な理由です。
もちろん、Joseiをそのように捉える人は、Shoujoも恋愛ものであり、それ以外の何物でもないと誤解している可能性が高いです。
Joseiとして販売されている作品の中には、恋愛をテーマにしたものもあり、また、大人が読むものなので、より性描写が多いものもあります。
また、若い主婦や母親を主人公にした作品もありますが、これがJosei作品のすべてではありません。作品をたくさん知れば、Shoujoと同じように、複雑で、家庭的でなく、成熟したテーマで描かれているものが多い事がわかるでしょう。
また、Joseiは女性だけの物語でもありません。例えば、『うさぎドロップ』は、育児経験のない30歳の男性が、死んだ祖父に隠し子がいたことを知り、他の家族に拒絶された彼女を育てることを決意する物語です。
『東のエデン』は、多くの人がJosei作品と考える、複雑な政治的・心理的スリラーです。
以上のことから、ある作品が誰に向けてどのように販売されようとも、特定の層向けというレッテルを貼られただけで拒否するのではなく、年齢相応の面白そうな作品には積極的に手を出すことが大切であることがわかると思います。
Isekaiとは何か?
「Sekai」とは日本語で「世界」を意味し、「Isekai」とは「異世界」を意味します。アニメで非常に人気のあるファンタジーのサブジャンルで、ポータルファンタジーの日本版といったところです。
Isekaiはキャラクター達が異世界へ飛ばされてしまう事を描く作品で、『犬夜叉』の主人公のように永久に、あるいはジブリ映画『千と千尋の神隠し』の千尋のように一時的に飛ばされるケースがあります。
別のタイプのIsekaiは、アニメやライトノベルで特に人気のある転生もので、平凡な人生を送ってたごく普通の人間が突然死んで、新しい世界、その多くは魔法が存在する世界に転生するというもので、現実逃避したい方向けのジャンルです。
人気作の『無職転生』や『転生したらスライムだった件』などがこれに当たります。