『シャドーハウス』2期第10話では、エミリコがマリーローズとローズマリーという強力なペアを相手に、勝利を確実にするための独創的な計画を立てます。
ーー 注意 ーー
以下、Crunchyrollで配信中の『シャドーハウス』2期第10話「仲間の価値」のネタバレを含みます。
ケイトがいくら作戦を考えても、マリーローズは常に5歩先をいっているようです。『シャドーハウス』2期第10話では、すすの量が少ないにもかかわらず、マリーローズはケイトの予想をはるかに超える強さと賢さを持った相手であることが証明されました。
彼女はこびりつきを操るのみならず、他のシャドーのすすを利用してこびりつきを作りだすことができるのです。ケイトとジョンがすぐに何か対策を考えなければ、ケイトはコーヒーパーティーでの事件の汚名を晴らせないでしょう。
エミリコはケイトほど戦略的ではありませんが、その無邪気さと創造性、そしてシャドーの主人(ケイト)を何よりも第一に考えていることが、型にはまらない独創的なアイデアを生み出す力になっています。
1期の「お披露目」で視聴者はそれを目の当たりにしましたが、2期の第10話では、このことがさらに大きな強みとなっている事が証明されました。しかし新しい計画でエミリコとケイトは勝利することができたものの、それは空虚な勝利でもあったのです。
マリーローズを倒すエミリコの見事な計画
前回の『シャドーハウス』では、マリーローズがエミリコとショーンをスス病に感染させたことで、2人はダウンしたかに思えました。しかしそれを予測していたケイトは、「口いっぱい水プラン」という、まさにそのまんまのプランを考案していました。
ローブ様(正体はマリーローズ)に会う前に、二人の生き人形は、マリーローズが必ず放つ灼熱の炎から身を守るため、口に水を含んでいたのです。ケイトは、その演技に説得力を持たせるために、二人の目にすすを吹き込んだりもしていました。
回復した2人は、パン1個を手掛かりにケイトとジョンに会いに行かなければなりません。
エミリコはケイトのことを常に第一に考えているため(ケイトの考えが分かり)、2人の主人であるシャドーが噴水に向かうことを察知し、マリーローズに見つかる前に4人で合流することができたのは素晴らしいことでした。
これにより、エミリコとショーンはケイトとジョンと服装を入れ替える事ができ、マリローズが2人のシャドーの捕獲に成功したと思い込ませ、その隙に、後ろからジョンが強力なジョンパンチでマリーローズに迫っていくというものでした。
実に見事なプランで、これがマリーローズを油断させる唯一の方法だったのです。
にもかかわらず、ケイトとエミリコの勝利が空虚に感じられる理由
しかし、エピソード全体には、ほろ苦いトーンもあります。エミリコとショーンの貴族姿を見ていると、もしシャドーハウスにさらわれていなかったら、二人はどんな人生を送っていたのだろうと思えてくるのです。
二人は生き人形になる前の記憶がないのですが、生き人形になっていなければ、二人の人生にはたくさんの可能性があったのだと思うと、この瞬間が余計に切なくなります。
ショーンが貴族の服を着ることに違和感を覚えた事は、もし二人がシャドーハウスから脱出できたとしても、人間社会に復帰するのがいかに難しいかを如実に物語っています。
第10話の終わりで動揺していないように見えるのは、マリーローズとローズマリーだけです。ケイトはなんとか汚名を返上し、星つきからの疑いを晴らすことができましたが、その代償としてマリーローズとローズマリーの自由が失われることになりました。
この二人は、”一体化”(シャドーと生き人形が融合する事。この際生き人形は死ぬ)のタイミングを食い止めるために長年奮闘してきましたが、シャドーハウスから逃げる寸前で挫折してしまったのです。
星つきの厳しさを考えれば、マリーローズとローズマリーへの罰は決して軽くはないでしょう。最悪の罰は、二人を強制的に一体化させることでしょう。ローズマリーは死に、マリーローズは親友の存在意識を奪ったという事実に苦しみながら、生き続けることになります。
お互いが共に何のメリットも無いという事になります。もっとも、一緒に脱出することはできなくても、少なくとも最後まで一緒にいるという事にはなりますが。