『異世界おじさん』にとって、時間は最重要ポイントであり、このアニメの制作の遅れによって、ヒット作になる可能性はなくなってしまったと思われます。
『異世界おじさん』は、飽和状態となりつつある異世界系のジャンルに新鮮な風を吹き込み、好評を博していました。同名のマンガを原作とするこの作品は、異世界系のお約束とビデオゲームのマニア要素をうまく組み合わせた作品です。
一見うまくいっているように見えましたが、視聴率スターに生まれ変わるには至っていませんでした。
この事実は、制作の遅れによって後半のエピソードが延期されたことでさらに悪化しました。今となっては、すでに厳しい競争を強いられているこの作品が、本当に市場に食い込むことができるのか、非常に疑わしいと思われます。
ここでは、『異世界おじさん』にとって、なぜ時すでに遅しなのか紹介します。
コロナ禍に対する用心が、人気上昇中の『異世界おじさん』を殺した
『異世界おじさん』は、何年も昏睡状態だった男が目覚めるというストーリー。この昏睡状態は、トラックに轢かれたことが原因で、ファンタジーゲームのような異世界に飛ばされてしまったのでした。
自分の世界に戻ってきた彼は、自分がかつていた場所を振り返り、現代を見回すと、特にかつてゲーム機を開発していたセガの衰退に呆然とします。
原作は、2018年に連載が開始された殆ど死んでいる(ほとんどしんでいる)氏によるマンガです。これは、ライトノベルとしてスタートした後にマンガ化やアニメ化を迎えた多くの異世界モノとは対照的です。これまでの8巻は、アニメ化されるほどの人気を誇っていました。
しかし残念なことに、制作会社であるAtelier Pontdarc(アトリエポンダルク)のスタッフがCOVID-19(コロナウィルス)の感染に見舞われました。このため、制作が大幅に遅れ、本作が大ヒットになる可能性が低くなってしまったかもしれません。
『異世界おじさん』は一発屋で終わる可能性が高い
『異世界おじさん』のこれまでのエピソードは、ほとんどの異世界モノに飽きてしまった人たちからも好評でした。とはいえ、このジャンルの世界に火をつけたわけではなく、アニメが公開されていた前期でも目立たない存在になっていました。
『転生したら剣でした』のような他の異世界モノの方が注目されており、『異世界おじさん』はその他の作品の一つになってしまいました。そのユーモアの多くは、このシリーズを見る多くの人よりも年上の年齢層の人たち向けのノスタルジーであったことも、たいした助けにはなりませんでした。
この2年間、アニメの放送延期は様々なシリーズに大きな影響を与えました。メカ系作品の『86-エイティシックス-』は、延期後の2つのエピソードが非常に好評だったことでなんとか救われましたが、『ワンダーエッグプライオリティ』の延期後の最終話は、かなりの視聴者が去ってしまった状態で公開されました。
これらの作品は、今回復活した『異世界おじさん』よりはるかに大きな波紋をすでに呼んでいたことを考えると、『異世界おじさん』は「ドリームキャスト」(セガの家庭用ゲーム機)と同じ道を辿ることになりそうです。