『のんのんびより』は、田舎町を舞台に、ほのぼのとしたキャラクターたちが繰り広げる、癒し系アニメファンにとっては究極とも言える作品です。
アニメの中には、テンポが速く、目まぐるしいストーリー展開を好むファンもいますが、あるジャンルは、視聴者に癒しを与えてくれます。
それがIyashikei（癒し系）と呼ばれるジャンルで、美しい舞台とほのぼのとしたストーリーで視聴者の心を癒すことで知られています。
その中でも、『のんのんびより』は、このジャンルの代表的な作品と言えるでしょう。
癒し系アニメは、日常系アニメのサブジャンルとして、その日常性の要素をさらに発展させたものです。
日常系アニメは、日々の生活をスナップショットのように切り取ったもので、通常のアニメに見られる、ストーリー展開に焦点を当てるのではなく、キャラクターの日常的な行動に焦点を当てたものです。
癒し系は、これをさらに絞り込み、視聴者がゆったりとした没入感を味わえるような舞台設定になっています。もちろん、キャラクター達も、癒し系にふさわしい役割を担っています。
2013年に放送された『のんのんびより』は、のどかな田舎町の舞台設定とほのぼのとしたキャラクターが絶妙なバランスで描かれており、癒し系ファンの心を掴むとともに、新たなファンも獲得しています。
『のんのんびより』は風光明媚な小さな町が舞台で、癒しとして完璧
『のんのんびより』の舞台はinaka、つまり日本の田舎です。旭丘（あさひがおか）は、作品の中心となる架空の農村ですが、都会の喧騒から遠く離れており、のんびりとした雰囲気が特徴で、作品の持つゆったりしたトーンにマッチしています。
緑豊かな風景に囲まれた『のんのんびより』の舞台は、その自然の美しさが、視聴者の心を癒しリフレッシュさせてくれます。町の生活もシンプルでのどかそのもの。
そんな風光明媚な環境を見事なアニメーションで表現しているからこそ、視聴者はその景色に他の事を忘れて入り込み、癒し系の真髄に触れることができるのです。
『のんのんびより』が、『ARIA（アリア）』（このジャンルで最も長い間注目されてきた作品）をはじめとするいくつかの癒し系アニメと異なるのは、その舞台が現実世界であることです。
旭丘は架空の町ではありますが、その風景や人々の暮らしぶりは現実のものとほぼ同じです。『ARIA』や『ふらいんぐうぃっち』などの癒し系アニメは、美しく描かれていますが、ファンタジー要素が織り交ぜられています。
これに対し、『のんのんびより』の小さな町の自然の美しさは、現実世界でも存分に味わえるもので、視聴者に懐かしさを感じさせる癒しの空間を提供しています。
愛らしいキャラクターが、子どものような喜びと想像力を与えてくれる
『のんのんびより』は、その舞台だけでも十分癒されるのですが、さらに子供たちを中心とした健全なお話で、さらに一歩踏み込んでいます。この作品のプロットは、エキサイティングな物語編を持つことの多い、ダイナミックな物語進行に従ったものではありません。
その代わり、メインキャストであるさまざまな年齢の子どもたちの日常を、スナップショットを取るように描きます。子供たちはしばしばおバカですが、その純粋な喜びの表情と想像力は、視聴者を現実世界のストレスや問題から引き離し、もっとシンプルな時へといざないます。
『のんのんびより』のバランスの取れたユーモアは、「笑いは百薬の長」として、癒し系作品としての地位を確立させました。この作品は、行き過ぎたコメディや、コメディそのものを中心に据えるのではなく、キャラたちのみずみずしいエネルギーと想像力を反映させるために、コメディを使っているにすぎません。
れんげがてるてる坊主の格好で街を練り歩く姿や、夏海（なつみ）が度重なるトラブルに巻き込まれる姿など、キャラたちのおちゃめな姿に接し、思わず笑わずにはいられなくなる中、視聴者は、彼らから元気をもらっている事にふと築くことでしょう。
癒し系というジャンルは、古くからそして現在でもさまざまな作品がありますが、中でも『のんのんびより』は、癒し系アニメの顔とも言えるほど、このジャンルを体現しています。
『のんのんびより』は、このジャンルの入門編としてバランスが取れているだけでなく、現実にも存在する風景を息を呑むほど美しく描写する中、キャラたちのほのぼのとした日常の姿を通して、最高の癒しを提供してくれる作品です。
『のんのんびより』はdアニメストアやU-NEXTで現在配信されています。
原作はAmebaマンガで読むことができます。
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