『かぐや様は告らせたい』の人気は否定できないが、このシリーズの主人公カップルのどこが観客を惹きつけるのでしょうか。
ラブコメは、アニメ業界において最も人気があり、定着しているジャンルの一つです。『かぐや様は告らせたい』は、その中でも特にコメディ色の強い人気作品として名を馳せています。物語の核となるのは、四宮かぐやと白銀御行という2人の高校生が、相手から先に告白させようとする心理戦を繰り広げるというものです。
特に漫画の後半やアニメのシーズン2、3では、2人がなぜそこまで夢中になるのかに多くの時間が費やされ、2人の関係が物語の中心となっています。優れた恋愛アニメは、観客が主人公のカップルを応援すべき理由を具体的に説明するのが常ですが、『かぐや様は告らせたい』は、それをさらに推し進めた作品です。かぐやと御行は、互いの弱点を補い合い、強みを発揮する、絶妙なコンビなのです。この相性の良さが、二人の関係を特別なものにしています。そして、それがこの作品を非常に面白く、魅力的なものにしているのです。
かぐやと御行の違いが二人の距離を縮める
かぐやの特徴の一つは、氷のように冷たい性格です。この状態を「氷のかぐや姫」と呼び、特に傷ついたり、怒ったり、動揺したりしたときに、この人格になります。生徒会室で御行と一緒に過ごすことが多くなり、千花や優とも親しくなるにつれて、そのようなことは少なくなっていきますが、表向きには少し硬く、不親切なオーラを漂わせています。
逆に、御行は他人に対してとても温厚で、見返りを期待せずにクラスメイトや友人を助けることが多いです。かぐやが言うように、人を道具として見ることが多いのに対し、白銀は善良な性格で、人に共感して行動します。この性格の違いが、二人の関係が進むにつれて、互いに擦れ違う大きな要因の一つとなっています。特にかぐやの場合は、御行の気さくで思いやりのある性格に感化され、白銀と親しくなる前は苦労していた、人に寄り添い、人と真摯に向き合う姿勢を身につけました。
四宮と白銀のもう一つの大きな違いは、自信の度合いです。かぐやはすぐに行動に移すタイプで、御行は少し慎重で注意深い。その好例がSeason3で、白銀がかぐやに惚れ込んだ理由を観客が正確に知る場面です。同級生がキャンパスの湖に落ちて溺れそうになったとき、かぐや姫が水に飛び込んで助けました。御行はすぐにかぐやの虜になり、「求められたらすぐに行動に移せる……そんな人は美しい 」と思ったといいます。これは決して些細なことではなく、御行が自分を高め、恋人の域に達しようとするのは、かぐやの類まれな無欲さと自信に大いに憧れるという意味で、劣等感からくるものなのです。
かぐやと御行の関係の中心にあるのは社会階級
もちろん、『かぐや様』について語るとき、主人公の二人の関係を彩る社会階層の違いを無視することはできません。かぐやが数十億円規模の財閥の跡取りであるのに対し、御行は労働者階級の出身です。しかし、白金は家族を養うために働かなければならず、生活苦の意味をよく理解しています。
この「貧富の差」の物語が真に破壊的なのは、二人とも相手の境遇を批判しないところです。実際、二人は階級の違いが自分たちを個性にしていることを純粋に評価しています。かぐやは、御行の身分が低いことを見下すことなく、自分と家族の生活の安定のために努力する姿を賞賛しています。御行もまた、生意気で甘ったれた社交界の人間ではなく、かぐやの上流階級の境遇を、自分よりずっとましな存在として見ています。この点で、二人とも不安を抱えています。それぞれ、とんでもない額の資本金を持っている、あるいはほとんどお金を持っていない、と相手に判断されることを心配しているのです。この違いがあるからこそ、二人は互いをより評価し、社会階級を仕切りとしてではなく、むしろ理解と思いやりのための空間として捉えている点が、このシリーズの珍しいところです。
シーズン3の告白編で、二人の絆が深まる
シリーズが長くなればなるほど、この二人の面白さと説得力が増しているように思います。第1話から、御行とかぐやの心理戦が繰り広げられ、面白いのですが、シーズン3の終わりには、観客はこの二人のキャラクターの切望を真剣に、そして感情的に理解することになります。シーズン3のフィナーレでは、このカップルの頭と心に深く入り込み、互いへの尊敬と憧れが、いかに相手の愛にふさわしいと感じることを妨げているかを探っています。
同時に、この告白劇は、二人が同じような欲望と価値観を共有していることも示しています。二人とも一緒にスタンフォードに行きたいと考えており、この教育への相互の愛とコミットメントは、シリーズを通して二人が常に共有している類似点です。また、二人は生徒会の仲間を本当に深く思いやるようになり、仲間を支えるために互いの計画を一時中断することも厭わなくなりました。このように、白金と四ノ宮は、多くの相違点を持ちながらも、カップルとして成立する十分な共通点を持っているのです。
白金と四宮の自然な相性は、互いの隙間を埋める方法をより一層高めています。二人が一緒にいるシーンはどれもちょっと不思議な雰囲気で、本物の恋愛感情が画面からにじみ出ているようです。二人が繰り広げる駆け引きは先延ばしに過ぎず、二人の恋愛関係が必然であることは視聴者にも明らかです。この二人の相性の良さは、恋愛アニメの主人公カップルの大半を凌駕しており、純粋に強力な主人公セットとなっています。『かぐや様』の劇場公開を機に、かぐやにも注目が集まっています。かぐやと御行の関係はさらに親密になり、アニメのベストカップルとしての地位はさらに強固なものになるでしょう。
『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』はdアニメストアやU-NEXTで現在配信されています。
原作はもちろん、『かぐや様は告らせたい 公式ファンブック ~天才たちの恋愛戦術~』もAmebaマンガで読むことができます。