ここ数年、MAPPAはアニメ業界において突出した力を持つ企業としての地位を確立しています。
MAPPAは、そのクリーンで乱れることのないアニメーションで知られ、世界中のファンの心を捉えました。
近年、ファンの多いマンガのアニメ化で広く知られるようになり、最も有名なアニメの一つである『進撃の巨人』の最終シーズンのアニメ化権を獲得したことで、スタジオの人気はさらに高まっています。
MAPPAスタジオは、有名なアニメスタジオであるマッドハウスの創設者の一人(丸山 正雄(まるやま まさお)氏)によって設立されました。同氏は先見的な視野を持つことで知られています。
ここでは、オリジナルアニメとマンガ原作からのアニメを含め、MAPPAスタジオのアニメをワーストからベストまでランキングしてみました。
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11 『賭ケグルイ』
『賭ケグルイ』は、スタジオMAPPAによる、原作マンガのアニメ化作品として、最も有名なものの一つです。
このアニメは、河本 ほむら氏原作の同名マンガをアニメ化したものです。アニメの監督は、フリーランスの監督として採用された林 祐一郎氏が務めました。
MAPPAはキャラクターデザインとアニメーションの一貫性においては完璧な仕事をしましたが、脚本とテンポはやや物足りませんでした。
また、この作品には、プロットそのものとあまり関係のない、意味のないエッチなお色気シーンが含まれていました。
あらすじ
名門、私立百花王学園では、成功や校内地位は高額なギャンブルで決まることになっています。
学園を支配するのは、一流のギャンブラーで構成される生徒会であり、同校は生徒会のもとで厳しい階層制度が敷かれています。
転校生として学園に入学した蛇喰 夢子(じゃばみ ゆめこ)は、大胆不敵で型破りなギャンブルの技を駆使し、現行体制に挑みます。
夢子は、ギャンブルという危険な世界に身を置きながら、巧みなギャンブル操作で激しい心理戦を制し、学園の暗い秘密を暴いていきます。
それは、彼女にとって正気の限界に挑戦するものでもありましたが、やがて彼女は学園の権力構造の本質を明らかにしていくことになります。
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10 『RE-MAIN』(リメイン)
『RE-MAIN』は、西田 征史(にしだ まさふみ)氏が企画・監督を務めたスタジオMAPPAのオリジナルアニメです。
他のMAPPAアニメと同様、本作はそのアニメーションと完璧なキャラクターデザインで賞賛されましたが、いくつかの点で物足りなさがありました。
このアニメの大きな問題は、原作者であり監督でもある西田氏が、キャラクターの成長や抱える過去のトラウマとスポーツの描写をすべて同時に絡めようとしたことにあります。
結果、物語やその進行ペースがバラバラになってしまい、それが作品全体のまとまりに影響を与えてしまうことになりました。
また、サポートキャラクター達は、それぞれの理想を追い求める姿がぬるく、空虚な感じがしました。
一方、プロットは、アニメで初めて水球をテーマにするなど、魅力的なストーリーテリングと複雑なキャラクター設定で際立つものとなっていました。
あらすじ
水球の選手として活躍していた高校生・清水 みなとは、ある出来事をきっかけに水球をやめてしまいます。
ある出来事とは、とある事故で過去の記憶を失ってしまった事だったのですが、その後、再び水球の世界に引きずり込まれることになります。
彼は、水球への情熱を取り戻し、自分の過去と向き合い、新しい仲間やチームメイトの力を借りて、再起を図る日々に励むようになります。
みなとの粘り強さとチームメイトとの絆は、水球の舞台で成功するための重要な要素となり、チームはさまざまな困難やライバル達に立ち向かっていきます。
9 『いぬやしき』
『いぬやしき』は、スタジオMAPPAが3DCGIアニメーションに強いポテンシャルを持っている事を世に知らしめたアニメです。
同作は、奥 浩哉(おく ひろや)氏の原作マンガをアニメ化したものです。監督は、(後に)『ヴィンランド・サガ』という大作で有名になる薮田 修平(やぶた しゅうへい)氏が務めました。
『いぬやしき』は、考えさせられるテーマに踏み込み、視聴者にユニークで魅力的なプロットを提供しました。
同作の特徴は、いたって普通の高校生が突然巨大な力を手に入れたらどうなるのか、というコンセプトと、3D CGIを駆使した大迫力のアクションシーンにあります。
『いぬやしき』は、突出したものは持っていますが、非常に激しい流血シーンや暴力シーンを伴う、硬質で暗いテーマを多く含んでおり、万人受けはしないかもしれません。
また、多数のサブプロットが一度に登場するため、多くの視聴者にとって、全てを追っかけきれない可能性もあるかもしれません。
あらすじ
孤独で変わり映えのしない日々を送る中年男性、犬屋敷 壱郎(いぬやしき いちろう)は、ある日、謎の爆発事故に巻き込まれてしまいます。
後に気づくと、彼は、驚異的な能力を持つサイボーグに変身していました。サイボーグ化を受け入れた犬屋敷は、その力を使って罪のない人々を守り、世の中を変えていくことを誓います。
一方、同じ事故に会い、同じような力を得た問題児、獅子神 皓(ししがみ ひろ)が彼の前に立ちはだかります。
犬屋敷が世に希望と救済をもたらそうとする一方で、皓は自身の暗い欲望に負け、その力を私利私欲のために使い、社会に大混乱を巻き起こすのでした。
2人がぶつかり合う中で、その相反する理想と行動が、人類の運命そのものを左右する、劇的な対決へとつながっていきます。
8 『坂道のアポロン』
監督は、『サムライ・チャンプルー』や『カウボーイビバップ』などの大ヒットアニメを手がけた、アニメ界を代表する渡辺 信一郎氏です。
渡辺 信一郎氏は、MAPPAの依頼で、小玉 ユキ(こだま ユキ)氏の同名原作マンガのアニメ化にあたり、その監督を請け負うことになりました。
『坂道のアポロン』は、登場人物達の友情と人間的成長を軸にした説得力のあるストーリーと物語が特徴です。
渡辺 信一郎氏は天才的なアニメーション演出を行うことで知られているので、彼のファンによる本作への期待も、紛れもなく高いものでした。
しかし、渡辺にとって、このアニメはこれまでの作品とは異なる方向性で演出を試みたかったようです。
彼は、ジャズミュージックをテーマに、キャラクター達のそれぞれの音楽的好みで、彼らがどのように絆を深めていくかを追求していくという演出方針を採用しました。
本作には長所もあるのですが、いくつかの点が解決されないまま完結してしまい、キャラクターの過去のトラウマや背景に、十分な焦点が当てられていませんでした。
また、特定のキャラクターの掘り下げを行う、キャラ回もあるにはありましたが、できればもう少し丁寧に描いて欲しかったところです。
あらすじ
本作は、1960年代を舞台にした青春アニメです。
小さな町に転校生として引っ越してきた西見 薫(にしみ かおる)が、新しい高校に通い始めると、そこで、同級生の自由奔放で腕の立つジャズドラマーである、川渕 仙太郎と出会います。
薫と仙太郎は、音楽が好きという共通の趣味から、一緒にジャズバンドを作ることになります。
多感な思春期、友情、それぞれに抱える悩みを経験していく中、音楽の力が彼らの人生を変えていきます。
『坂道のアポロン』は、社会の変化やジャズ音楽の発展を背景に、友情、自己発見、情熱の追求というテーマに取り組んでいます。
7 『地獄楽』(じごくらく)
『地獄楽』は、このリストの中で唯一、アニメーションは良く出来ていまものの、残念ながら、ストーリーが時々薄っぺらになっているというアニメです。
第1話を見てこれは期待できると思ったのに、登場人物が、そのバックストーリーが明かされた直後に死んでしまうといった事がたびたび繰り返されるので、視聴者が萎えてしまい、同時に作品の魅力も落ちていきます。
こういうケースも稀だと思われます。
問題は、キャラクターがゆっくりと成長しないことです。だから、彼らが死んでも、視聴者が彼らに感情移入する時間がなかったため、それほど大きな衝撃を受けないのです。
それでも、本作は週刊少年ジャンプ誌のダークトリオの一角を占めており、アニメも視聴者から高い評価を得ています。
6 『進撃の巨人』The Final Season
『進撃の巨人』は、MyAnimeListやAnilistによると最も視聴されているアニメであることからもわかる通り、誰もが知っている有名なアニメです。
この作品は、諫山 創氏の原作マンガをアニメ化したもので、最初の3期はWITスタジオがアニメーション制作を担当しています。
本作は、抱えているプロジェクトの多さと、財務状況の悪化のために、WITスタジオが制作を断念しました。代わりに、スタジオMAPPAが『進撃の巨人』The Final Seasonのアニメーションを担当することになりました。
MAPPAが、The Final Seasonの予告編を公開したところ、アニメ界より拍手喝采を浴びました。 アニメーションのクオリティが高く、デザインも前期までと比べても遜色ないものに見えたからです。。
予告編で世界中のファンの期待が高まる中、いざ本編が放送されると、CGIやテンポの悪さに加え、原作から削除されてしまった内容があったこともあり、すべての期待が落胆へと変わってしまいました。
大きな論争となったのは、予告編は本編とは別にアニメ制作されたものであり、本編でのアニメーション品質とは異なっていたという事実でした。
巨人たちは、予告編ではフレーム単位で(手書きで)描かれているのに対し、本編ではCGIの力を借りてアニメーション化されていたのです。
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5 『チェンソーマン』
『チェンソーマン』は、久々に見る、ファン待望のマンガのアニメ化作品でした。アニメは中山 竜氏が監督、MAPPAが制作し、2022年10月から2022年12月まで放送されました。
本作は、その期待に違わぬ出来栄えでした。このアニメは、監督の中山 竜氏から原作者の藤本 タツキ氏への「ラブレター」とも評されていました。
アニメーションからキャラクターデザインまで、テンポを含め、すべてが完璧でした。サウンドトラックは、『DEVILMAN crybaby』や『聲の形』を手掛けた伝説の音楽家、牛尾 憲輔(うしお けんすけ)氏が作曲しました。
多くのファンから不満が出たのは、ところどころでCGIが使われていることです。『進撃の巨人』The Final SeasonでMAPPAが批判された理由と同じです。
しかし、全体として、スタッフはアニメで特筆すべき仕事をし、原作にも忠実でした。
一方、日本のファンの中には、アニメの出来にあまり満足していない人もいました。彼らは、別の監督でアニメを作り直すよう嘆願書を出したほどです。
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4 『残響のテロル』
『残響のテロル』は、『坂道のアポロン』同様、原案・監督を渡辺 信一郎氏が担当し、スタジオMAPPAが制作し、2014年7月から9月まで放送されました。
本作は、MAPPAのレーベルで渡辺 信一郎氏が手がけた作品の中で、最も象徴的な作品のひとつとなりました。
本作は、手に汗握る魅力的なストーリーを、非の打ちどころのないビジュアルと複雑なキャラクターたちが織りなすアニメーションで構成されており、これらは渡辺 信一郎氏が最も得意とする要素です。
アニメだけでなく、本作のサウンドトラックは、有名なミュージシャンである菅野 よう子(かんの ようこ)氏が作曲し、癒しを与えるものから脅威を与えるものまで、さまざまなテーマで構成されています。
悪い点を挙げるとすれば、本作のプロットには、かなりあり得ない要素が含まれており、視聴者によっては「いくらなんでもこれは無いわ。」と作品への没入感を鈍らせる可能性があります。
あと、本作のメインキャラクターであるナインとツエルブは大きく成長するものの、脇役のキャラクターは作品を通してほとんど成長しません。
あらすじ
本作は、ナインとツエルブという謎めいた2人の男の活躍を描くスリリングなアニメ作品です。
この謎めいた若者たちは、良く練られた非常に効果的な一連のテロ活動を計画し、東京でそれを実行に移します。彼らの行動は当然、当局の知る事となり、献身的な刑事である柴崎(しばざき)は、彼らの動機と正体について真実を追う使命を託されます。
追うものと追われるものとの複雑な駆け引きが繰り広げられ、過去の秘密が明らかになり、やがてナインとツエルブの任務の真の目的が明らかになり、ドラマチックで激しいフィナーレを迎えます。
3 『呪術廻戦』
MAPPAの制作下で最も有名なアニメ化作品の一つです。
本作は、芥見 下々(あくたみ げげ)氏の同名原作マンガを、監督、朴 性厚(パク・ソンフ)氏でアニメ化したものです。本作はMAPPAの大ヒット作となり、アニメとマンガの両方で大規模なファン層を開拓しました。
アニメは、フレーム単位の流麗なアニメーションと驚異的なキャラクターデザインで、原作マンガを凌駕するほどの出来映えに仕上がり、アニメ業界に非の打ちどころのない衝撃を与えました。
本作は、ほとんどすべてのメディア方面から絶賛され、その結果、原作マンガは商品価値が爆上がりし、最も売れた少年マンガの1つになるほどでした。
『呪術廻戦』は、アクション、魅力的なプロット、複合的側面を持つキャスト陣で知られています。
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2 『どろろ』
『どろろ』は、1967年に連載が始まった、マンガ家・手塚 治虫氏による古典的有名マンガを、2019年にMAPPAがなんと52年の時を経てアニメ化したものです。古橋 一浩(ふるはし かずひろ)氏がアニメの監督を務めました。
『どろろ』は、ユニークな設定を持っており、幼少期に魔神に奪われた自分の体の箇所を探すために旅に出る百鬼丸という剣士の物語です。
ストーリーは、日本の封建時代を舞台に展開されているので、時代が持つダークで厳しい雰囲気が、アニメの世界観に深みとリアリズムを与えています。
『どろろ』の唯一の不満点は、エンディングで、それぞれのキャラクター達が最後どうなったのか、きちんとした描写が欠けており、やや急ぎ足で強引な終わりだと感じられるところです。
あらすじ
『どろろ』は、妖怪と戦乱に苛まれる封建的な世界を舞台とするアニメ作品です。悲惨な運命を背負った若い戦士が、奪われたものを取り戻すために危険な旅に出ます。
その道中、彼は才能豊かで機知に富んだ泥棒、どろろと出会い、互いに相棒となります。彼らは共に大きな試練に立ち向かい、人間や妖怪と戦い、彼らの世界に潜む暗い謎を解き明かしていきます。
互いに許し合う事を知ったり、体を取り戻そうと旅を続ける彼らは、やがて、自らの心の内に潜む悪鬼や、彼らを飲み込もうとする途方もない力に直面することになります。
1 『ヴィンランド・サガ』2期
本作は、幸村 誠(ゆきむら まこと)氏の同名原作マンガをアニメ化したもので、今や、最も有名な歴史アニメの1つになりつつあります。
アニメの第1期はWITスタジオによって制作され、第2期はMAPPAにアニメーション化の権利が移されました。
アニメ2期では、監督の薮田 修平氏をはじめ、1期と同じスタッフがWITスタジオに引き続き採用されました。
本作は、MAPPAが原作者本人から賞賛されるほどマンガを忠実にアニメ化しており、今回のリストの頂点に立つこととなりました。
MAPPAは、ビジュアルからキャラクターの成長、アクションシーンに至るまで、アニメのあらゆる面でその仕事を完璧にこなしており、視聴者の期待が高まり続ける一方になっています。
あらすじ
本作は、激動の歴史的時代を舞台にした大作アニメです。のどかな生活を壊され、復讐のために旅に出た若い戦士、トルフィンを中心に描かれています。
トルフィンが危険な土地を旅するうちに、政治的陰謀と個人的な欲望に突き動かされた大きな戦争に巻き込まれることになります。
トルフィンの旅は、激しい戦い、大きな道徳的ジレンマ、そして仲間ができたり裏切りにあったりともつれた網をかいくぐるように航海を続けていく中で、彼自身に大きな人格形成がなされます。
その道中で出会った重要人物たちが、彼の視点を変え、考えを変え、ついには悔い改め、自分自身を発見する道へと導いていくのです。