『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するスレッタの愛称が「たぬき」である理由を知ろう。
ガンダムにおけるギャグとミーム(インターネット上で拡散されて流行る、ネタ)
ガンダムシリーズはシリアスなアニメのはずですが、ファン界隈は、それをジョークにするコツを持っています。
実際、私がいろいろなガンダムのフォーラムやグループに出入りしているのは、彼らが好きなキャラクターをイジって、ギャグをたくさん作っているのを楽しむためです。
ブライト・ノアの(アムロへの)平手打ちは、ミームを生んだおかげで伝説のネタになりました。
『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』もジョークの温床となりましたが、これは主にキラが普通の人間ならば蒸発していまうような厳しい仕打ちに耐えたことから生まれています。
一方、『機動戦士ガンダム00』は、巨乳の女性や少女のような男性にフェチを持っている一方、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では、とある人物(オルガ)の死亡シーンが間違った理由に解釈され、笑えました。
そして、『新機動戦記ガンダムW』のマゾヒズムへの傾倒、『機動戦士Vガンダム』の制御不能なサディズム、などなど他にもあります。
数え上げればきりがありませんが、格言にもあるように、ジョークを生み出すガンダムという作品は、健全なものであると言えます。
これはまた、ギャグを思いつくファンがいるということは、それだけ作品が多数のファンに受け入れられたからこそ、ということでもあります。
このことは、さまざまな掲示板で『ガンダム Gのレコンギスタ』のミームを見かけることがほとんどなかった事の説明にもなります。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
新シリーズとなる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でも、ファンが新たなギャグを生み出しました。
実際のところ、私が初めてスレッタを見たとき、ファンが彼女をミームにする日もそう遠くはないだろうと予感しました。
そして、やっぱりというか、予想通り、彼女は「たぬき」と呼ばれるようになりました。
ファンの中には、なぜ彼女がこのようなニックネームになったのか不思議に思う人もいるかもしれません。実際、私自身もそうでした。
それで、答えを見つけるためにインターネットの奥深くを探してみました。そして、ついに見つけました。
たぬきは、日本のイヌ科タヌキ属の動物です
たぬきとは何ぞや?
weeb(日本の文化を愛するオタクやマニアを総称したスラング。特にアニメやマンガオタクのことを指すことが多い)への新参者とweebの血が足りないファンの方にとって、たぬきっていったい何なんだ、と思うことでしょう。
その答えは、日本の大自然、そしてそのちょっと魅力的な文化と民俗学的伝承にあります。
もし、あなたが日本の裏山をさまよっているときにアライグマに出くわしたとします。でも、それはアライグマではありません。それは、イヌ、オオカミ、キツネの近縁ですが、目の上の模様がアライグマにそっくりな、イヌ科の動物なのです。
おめでとう!それこそがたぬき。あなたは、たぬきに出会ったのです。タヌキという名称は、ニホンアナグマなど、似たような姿を持つ他の動物を指すこともありますが、標準的にはイヌ科タヌキ属の動物を指します。
超自然的たぬきの姿
化け狸
たぬきはイヌ科の動物ですが、その鳴き声は、飼い猫に近いです。また、曲がった爪で木に登ることも知られています。
しかし、日本の民間伝承では、たぬきには超自然的なバージョンもあるのです。それが日本の妖怪(超自然的存在)、化け狸です。
民間伝承をもとに文学では、化け狸はきつねに似た変身能力を持ち、人に憑依することができると描かれています。一般的な伝承では、化け狸は大きな目、大きな尻尾、大きなお腹をした二足歩行の生き物で、人懐っこい笑みを浮かべています。
化け狸は、帽子をかぶり、酒瓶と約束手形を持っています。特大のキ**マ(陰嚢)さえあります!
しかし、たぬきは変身能力もさることながら、滑稽な性質も持っているようです。いたずら好きで、陽気で、ぼんやりしていて、だまされやすいといいます。
ガンダムファンは….どこかで聞いた覚えがあるような?
スレッタ・マーキュリーの最も印象的な瞬間のひとつ
スレッタ・マーキュリー
つい最近、ガンダムファンはスレッタ・マーキュリーに出会いました。彼女は万人向けではありませんが、バンダイナムコはファン界隈にユニークな主役パイロットを提供したと言えるでしょう。
ガンダム作品群の主人公は、少し感情的すぎるティーンエイジャーから始まり、最小限の訓練で主役機ガンダムを操縦するコツをつかむ、欠点だらけの人物たちが後に続きます。
90年代に入ると、最も男らしい主役パイロットたち(武闘派から情緒不安定者まで)が登場しました。もっとも、後になって設定にトラップがある事をファンは知ることになるのですが。
その後、『SEED』とそのドラマに満ちた一団が登場し、『ガンダム00』と『鉄血のオルフェンズ』では暴力的な情緒不安定パイロットが復活しました。
威圧的というより滑稽
スレッタの場合、人との付き合いが不器用な主役パイロットで、威圧的というより滑稽に見えます。彼女はやる事なす事ぎこちなく、ピエロのようで、愚か者が浮かべるような表情をしています。
彼女が、間の抜けた動きからグエルを叩いたことは、誰も忘れることはできないでしょう。しかし、そのコミカルな顔の裏に、スレッタが有能なパイロットであるという事実が隠されています。
『水星の魔女』が始まって以来、彼女はなんとかグエルたちを倒し、1期の最終話では反乱軍の襲撃を撃退する手助けをしました。
その時の、彼女がどこか屈託のない笑みを浮かべながら、血まみれの手を女友達に差し伸べるあの悪名高いシーンを忘れる者はいないでしょう。
なんといってもそれは、彼女が新しいガンダムで、男を押しつぶして殺した後のことだったのですから。
それは、この少女が無垢を装っているかのような印象を与えました。そしてここから、なぜ彼女がファンから「たぬき」というニックネームをつけられたのか、そのヒントが見えてきます。
『水星の魔女』におけるスレッタがスレッタであること
スレッタは、たぬきのように描かれている
スレッタが、ガンダム世界のたぬきになったのには、それなりの理由があります。まずは彼女の描かれ方から。彼女は単純にたぬきに見えます。
なぜ彼女があの大きな丸眉になったのかは不明ですが、私は彼女の黒めな肌が好きです。彼女によく似合っていると思うから。
そして、スレッタの特徴の多くは子供のようだと言えます。丸顔とか。
加えるに、スレッタは垂れ目をしていて、私の友人は「ボーッとしているように見える」と表現しています。全体的に、褐色の肌、童顔、大きな垂れ目といった顔の特徴は、まさにガンダム版たぬきといった風情です。
そして、その大きな眉毛は、たぬきの顔の特徴にも一致します。
たぬき顔
そして、彼女は見た目は無垢ですが、それは装っているのか本当にそうなのかということがあります。スレッタが実際よりも間抜けに見えるのは、彼女が有能なパイロットであるにもかかわらず、調子はずれな態度をとる傾向があるからです。
ちなみに、日本には tanuki gaoという言葉があり、「たぬき顔」という意味になります。
このような呼び方は、スレッタのように丸顔で童顔の女性に限られます。細面で頬骨が高く、目が細い女性は、kitsune gao(きつね顔)と呼ばれ、たぬき顔とは区別されます。
ファンの見るスレッタ
我々のスレッタがたぬきのニックネームを持つようになったのは、その顔の特徴がたぬき顔に一致していること、無垢を装ったような呆けた顔をする傾向があること、そして中身はどうあれ、本当に間抜けに見えるという事実があるからです。
ファン界隈では、彼女が人間化したタヌキに変身するというミームが多数集まりましが、中には、たぬきこそが彼女の本来の姿なのだと主張する者もいました。
これはもちろん、超自然的なたぬきが人間の姿に化けることができるという日本の民間伝承にちなんだものなので、うなづいてしまうものなのです。