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レビュー:『ふしぎの海のナディア』全39話

レビュー:『ふしぎの海のナディア』全39話

あらすじ:

我々の19世紀末の世界を、より幻想的なものにした別世界が舞台となる。
孤児のサーカスの曲芸師ナディアは、母親から受け継いだ神秘的で魔法のような宝石を唯一の手がかりに、自分がどこから来たのかずっと考えてきた。
その魔法のような宝石は、ブルー・ウォーターと呼ばれるものだった。
策略家グランディス・グランバァ率いる悪党一味に、パリを追われたナディアとライオンの仔でナディアの仲間のキングは、ジャン・ロック・ラルティーグという真面目な若い発明家と出会う。
3人はブルー・ウォーターとナディアの過去の秘密を探る、一世一代の冒険に出ることになる。
彼らの旅は、太古の海底の最深部から、人類が夢見た最も遠い空の果てまで続いていく。
旅する中で、ナディアは、自分が本当は何者なのか、自分の運命が世界そのものの運命といかに切っても切り離せない関係なのかを、身をもって考えていかなければならなくなるのであった。

レビュー:

私は、『新世紀エヴァンゲリオン』の生涯のファンなのですが、ホームメディア全盛期にリリースされた名作アニメDVDのきちんとしたコレクションを築くチャンスを、若さゆえか逃してしまっていました。
そんな私にとって、『ふしぎの海のナディア』は「バケツリスト(死ぬ前にやっておきたいことや達成したいことを書き出したリスト)」に入るアニメのひとつで、ついに自分の目で見る機会を得たことに、興奮を抑えきれませんでした。
それが可能となったのは、 最近になって、本作がブルーレイで再リリースされたり、RetroCrushのようなストリーミングサービスで配信されるようになったからです。
庵野 秀明監督の最も有名なメカ系アニメの傑作、『エヴァ』の前身である、このあまり知られていない本作について、私は大人になってからほとんど何も知らずに過ごしてきてしまったことに、ショックを受けました。
私が知っていたことと言えば、少なくとも外見上は、『エヴァ』の碇 シンジ君が、本作の主人公のヒロインと性別を入れ替えた(より日本的な)バージョンであるという些細な事のみでした。
いずれにせよ、私は『ふしぎの海のナディア』を視聴しました。楽しいサイエンス・ファンタジーの娯楽作品だと私は予想しており、できれば、ガイナックス・スタッフの本作以降の作品における芸術的試みに何らかのヒントを与えてくれれば有難いとも思っていました。
しかし視聴後に発見したことは私の予想だにしないものでした。本作は、はるかに有名な姉妹作(『エヴァ』)と互角に渡り合えるほどの、素晴らしく、複雑で、深い野心に満ちた(深い欠陥もありますが)作品だったのです。
『ふしぎの海のナディア』で最も印象的だったのは、特に序盤のエピソードで顕著なのですが、これが明らかに庵野 秀明氏と庵野の師である、伝説的な宮崎 駿氏が手がけたオリジナルのコンセプトワークからスピンオフした作品であることが、明らかな事です。
本作は、『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』のような名作を思い起こさせるテクノファンタジーの雰囲気に加え、ナディアとジャンは、典型的な宮崎アニメのヒロインとヒーローに生き写しです。
ナディアのむき出しの気迫と自然界との切っても切れないつながり、そしてジャンの限りない好奇心と愛すべき仲間への献身など、宮崎アニメを思い起こさせるに十分でしょう。
このように、業界の不滅の巨人(宮崎)の作品と表面的な類似点は確かにあるものの、『ふしぎの海のナディア』は、過去30年間でおそらく最も有名でインパクトのあるアニメを制作することになる新進気鋭(庵野)の作品であることも、またはっきりしているのです。
『エヴァンゲリオン』によって私の脳裏に焼き付いた映像や叩きつけるようなストーリーの多くが、『ナディア』から始まっていることに、私は心底驚かされました。
ナディアの自己発見と(嫌な事の)受容の旅は、碇 シンジの旅とは多くの点で大きく異なりますが、核となるテーマや啓示は非常に多く共有されており、文字通りの続編ではないにしても、『エヴァ』がいかに『ナディア』の精神的後継者であるかが、私にはよく判るのです。
しかし、誤解しないで欲しいのは、『ふしぎの海のナディア』は、単に『エヴァンゲリオン』に歴史的に近いという理由だけで価値があるわけではありません。ほとんどの部分において、この物語は娯楽性に富み、想像力に富み、スリリングであるからこそ、価値があるのです。
ナディアとジャンがフランス・パリで初めて一緒に冒険したのを見た瞬間から、私はナディアとジャンに夢中になったし、彼らが旅の途中で出会う悪党や味方のほとんどすべてを愛するようになりました。
ジュール・ヴェルヌの古典的作品(『海底二万里』および『神秘の島』)に登場するキャラクターやイメージを、SF的な奇抜さと融合させた本作は、最高にクールだと思います。
鷺巣 詩郎(さぎす しろう)氏の音楽は、本作において、後の『エヴァ』プロジェクトで彼が手がけた音楽に決して引けを取らないと、私は誰が何と言おうと主張しておきます。
ADVフィルム社が当時制作した、とんでもなく安っぽい英語吹き替え版でさえ、おふざけ的な魅力に溢れていて、この過去からの爆風的作品を見る体験を、さらに盛り上げてくれると思います。
全体として、ジャンとナディアに最後まで付き合った視聴者が、この作品と共に過ごした(ほとんどの)時間を、楽しかったと思わないとすれば、私はショックを受けるでしょう。
私が「ほとんどの」と言ったのは、残念なことに、この作品に対して議論する際に必ずついて回る、例えると、部屋の中にいる巨大で邪魔な象のような存在について、そろそろ言及しなければなりません。
悪名高いことに、NHKが本作を(放送の都合上)当初の予定より延長するよう要求したことと、庵野 秀明氏が第22話制作の頃に、本作の監督を(一時的に)降板したことが重なり、恐ろしい「島」編と「アフリカ」編が生まれました。
島編8話とアフリカ編3話で構成されていますが、これは…正直、かなり酷いです。庵野総監督の長年の協力者である樋口 真嗣氏が、この中編のエピソードの監督を引き継ぎいでいます。
島編には少なくとも、作品全体のプロットに関連するエピソードがいくつか含まれている(具体的には第30話と第31話)ものの、この11話のほとんどは、存在してた事すら忘れてしまいそうな話数稼ぎ回から、座って見ているのが苦痛になってしまうようなものまでありました。
新規に外注されたというアニメーションは、クオリティの面で大きな落ち込みがあり、脚本と演出がずさんで、まるでアマチュアが作ったみたいになっています。特にアフリカ編は、全話を通して最も怠惰で不快なまでのステレオタイプ的な脚本に陥っています。
(正直なところ、もしあなたがヘラクレス並みの忍耐力を持っていないのなら、島編とアフリカ編のほとんどを完全にスキップすることをお勧めします。ぶっちゃけ、第22話まで見たら、ジャンプして第30話と第31話を見て、次に、第35話から始まる最後の5話にすぐにジャンプするのです。
純粋主義者は、スキップ案に反対するかもしれません。つまり、スキップすれば、制作サイドが価値があると考えているような、ちょっとしたキャラクターやプロット展開を見逃してしまうからです。
私はそれでも、スキップした内容の全てをストーリーから完全に追い出しても、物語全体の理解に必要不可欠なものを失うとは思いません。また、退屈に耐えかねてため息をつくこともなくなるでしょう。)
ありがたいことに、第35話から第39話までの最終編に庵野監督が戻ってきたことで、この作品は非常に満足のいく、記憶に残る結末を迎えました。作品中盤の目に余る弱点はありますが、この作品の全体的な視聴体験はとても素晴らしく、私は本作を一押しで推薦せずにはいられません。

評価

全体        : A-
全体 (吹き替え版) : B+
全体 (字幕版)   : A-
ストーリー     : B+
アニメーション   : B+
美術        : B+
音楽        : A
古典的なファンタジー文学の要素と、庵野 秀明氏が得意とするSFアニメのスペクタクルが融合した、素晴らしく野心的なアドベンチャー。あと、愛すべき安っぽい英語吹き替え。
「島編」と「アフリカ編」のエピソードは、当時のガイナックス作品にありがちな制作上の矛盾があり、ほとんどスキップしなければならないほど酷い。


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