また今日も1日、仕事に行くくらいなら、ゾンビになった方がマシだという人がいたとすれば、『ゾン100』第1話は、そんなあなたにお勧めのアニメです。
集団の中でまるでゾンビのような生活を送っていた人間が、本物のゾンビの中で生き生きとした生者になるまでの、主人公の旅路をこのレビューで見てみましょう!
『ゾン100』第1話 概要
『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』(『ゾン100』)は、2023年夏アニメとして放送されるアクション、コメディ、ホラー、超自然現象、アニメです。
原作は、原案が麻生 羽呂(あそう はろ)氏、作画は高田 浩太郎(たかた こうたろう)氏によるマンガです。
本作は、今回が初めての元請けとなるスタジオ・バグフィルムが制作を担当しています。
監督は、『古見さんは、コミュ症です。』や『ベイブレード』などの人気アニメを手がけたことで知られる川越 一生(かわごえ かずき)氏が担当しています。
ー『ゾン100』第1話レビュー ネタバレなしー
Memento Mori(死の警告、汝の死を覚えよ)
本作のPVを見ると、主人公の現在の日常がいかに惨めなものであるかが、かなり強調されていましたが、それは正直まったくピンときませんでした。
死と混乱と恐怖の(ゾンビに)満ちた世界にいることの方が、主人公は楽しんでいるように見えますが、彼のそれまでの人生はそれほど悪いものだったのでしょうか?
24時間365日、人の肉を食らう怪物たちがいる方がましだと思えるほど、酷い仕事人生を送るということは、実際あり得るのでしょうか?
答えは100%イエスです。あなたや私、あるいは他の誰だって、もし天道 輝(てんどう あきら)と同じ仕事をしているのであれば、きっと彼と同じ気持ちになるでしょう。
第1話は、作品の世界設定を説明し、主人公とその境遇をしっかり描写し、そしてこれらすべてをこなしながら信じられないほど面白いものに仕上げるという、本作にとって、他に例を見ないくらい素晴らしい導入エピソードとなりました。
このエピソードの制作に心血を注いだ人々の判断に、たった1つの悪い点もなかったように思われます。脚本、作画、絵コンテ、演出、その他アニメ制作に関わることすべてが完璧であり、これ以上のものはないと断言できます。
輝の仕事とそれが彼をどう変えてしまったかの描写は、現実的で見ていて気分が悪くなるようなもので、日本の労働環境の悲惨さの一例を描き出していました。同時に、輝の性格と彼の葛藤を見るにつけ、すぐに応援したくなりました。
彼が、これでもいいんだ、会社のためにこれだけ働くことが必要なんだ、と自分を納得させようとしたとき、あるいは、この悲惨さから逃れるために一瞬自殺を考えたとき、あなたは彼のすぐそばにいて気持ちを共にしたことでしょう。
彼の行動や振る舞いが容認されることはおそらくないでしょう、場合によってはあるかもしれませんが、すくなくとも理解はされるでしょう。
この作品における作画は、私たちが一般的に作画と聞いて思い浮かべるものを超えていて完璧でした。フレームは美しくアニメーションし、よくまとまっていたことは言うまでもなく、それ以上に見るべきことがたくさんありました。
初めてゾンビを見たときのシークエンス全体(色付き)と、その前のシークエンス(モノクロ)との対照的な色使い、そして輝の人生が文字通り目の前で変わったときの画面のアスペクト比の変化㊟は、この作品を際立たせました。
今後数週間で、この作品についてもっと語る機会が増えるであろうことを、私は確信しています。
㊟初めてゾンビに出合う前はシネマスコープ(画面上下に黒帯)で、その後フルサイズになる。
『ゾン100』第1話は、全体的に完璧でした。肯定的な意見しか言うべき言葉が無いのです。というより、あまりの出来の良さに驚かされたくらいです。
地に足のついたアプローチをやり通した本作は、ファンの大きな注目を集めそうです。また、コンセプトもユニークで、脚力とストーリーテリングの可能性を感じさせます。
このクオリティが続けば、今シーズンのダークホース的存在になるかもしれません。
評決
『ゾン100』第1話は、導入エピソードとしてはこれ以上ないほど完璧でした。ストーリー、キャラ描写、演出、このエピソードの全てのクオリティが非常に高いものでした。
全体評点 5.0/5.0