警告:この投稿は、漫画『呪術廻戦』のネタバレを含んでいます。
普段、私は本を読むとき、登場人物の動機についてあまり考えません。
なぜなら、登場人物の思考プロセスは文章によってすでに理解できているからです。
しかし、マンガやグラフィックノベルは、画像とセリフでストーリーを語るので、登場人物の動機がはっきりしないことが多いのです。
私は、この解釈の余地のある曖昧さが好きです。
最近、芥見下々の『呪術廻戦』を読んでいて、また新たな登場人物に出会い、興味を持ちました。
今日は、五条悟が虎杖悠仁を守ろうと思った理由について分析したいと思います。
『呪術廻戦』の最初の数章で、主人公の虎杖悠仁は、強力な呪いである「両面宿儺」に憑依されます。
悠仁は死刑を宣告されます。
しかし、五条悟は、呪術界の上層部を説得し、悠仁の刑を延期させることに成功。
五条は当初、悠仁が宿儺の力を制御できるようになることを信じていることを示唆しました。
しかし、そもそも五条はなぜ悠仁を守るのでしょうか。
悠仁の命が大事なのか、それとも生きている方が五条にとって都合がいいだけなのでしょうか。
五条は、呪術師として何が期待できるかを悠仁に正直に話していますが、彼の言葉は典型的な誤解を招き、不誠実ささえ感じさせます。
五条が悠仁を守る理由を語るときでさえ、それが真実なのかどうかは不明。
五条がヒーローとはほど遠い存在であることが、彼の利他的な行動をより不可思議なものにしています。
『呪術廻戦』を読んだことのある人なら、五条悟が脅威であることは知っています。
自分の嫌いな術者をわざと苦しめ、軽蔑し、敵を倒すためには罪のない傍観者を犠牲にすることも厭いません。
では、なぜ虎杖の生存が宿儺の復活につながるのに、虎杖に手を貸したのでしょうか。
この分析では、シリーズを通しての五条の言動から、彼が悠仁を助ける理由を探ってみたいと思います。
また、それぞれの理由が本当にそうであるかどうかについても議論したいと思います。
なぜ五条は虎杖悠仁を守るのか
それは、恵に頼まれたからです。
これは最も基本的な、そして誤解を招く答えであり、『呪術廻戦』第2話でその証拠を見ることができます。
五条は、悠仁が宿儺と自由に入れ替わることができることを確認した後、悠仁を気絶させ、悠仁が目を覚まして自分自身のままであれば「器の可能性がある」と恵に話します。
そして、悠仁をどうするべきか、恵に問います。
恵は五条に「虎杖を死なせたくないから、なんとかしてください」と伝え、何とかしてほしいと頼みます。
五条は、「かわいい生徒の頼みだ、任せなさい」と叫び、このシーンを締めくくります。
しかし、それでは恵が五条に救いを求める前に、五条が悠仁を試し始めたことの説明がつきません。
第12話で五条が登場したとき、五条は恵が悠仁を救いたいと言うのを待たずに、悠仁の潜在能力を試し始めています。
実際、五条の力を知っていれば、上層部を全く巻き込まずに、宿儺の器を簡単に殺すことができました。
恵の依頼以前に規定に従うのであれば、悠仁が宿儺を操れるかどうかをわざわざ確認する必要はなかったはず。
五条には、悠仁を救いたい理由があるのは明らかです。
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宿儺の指をすべて処分したい
そもそも五条が悠仁の処刑を延期するよう上層部を説得できたのは、悠仁が宿儺の指を全部食べてから殺すことを提案したからです。
そうすれば、20本の特級呪物も、宿儺の復活の可能性もなくなります。
しかし、この説明も実は最初の説明と同じように誤解を招きやすいのです。
五条は悠仁に宿儺の指を全部食べさせたいのですが、処刑されるのではなく、悠仁に宿儺の力を支配してほしいのです。
宿儺を永遠に排除するために、後で悠仁を殺すことを提案したのは、本当は悠仁のための時間稼ぎだったのです。
上層部を倒すために、強力な若い呪術師の軍団を…
悠仁を救った五条は、ついに悠仁を助けた本当の理由を語ります。
悠仁に力をつけてもらい、上層部を倒す手助けをしてほしいというのです。
彼は呪術界の上層部の支配を覆す計画を語ります。
彼は、最も簡単な計画は、責任者を全員殺すことですが、そうしても他の誰かが代わりになるだけで、結局何も変わらないと考えます。
それよりも、強くて賢い味方が必要だと考えたのでしょう。
彼は教育に携わることで、忠実な味方を集め、新しい世代を自分と同じように強くするよう訓練します。
そして、宿儺の器である悠仁は、五条の夢に役立つ力を持つ可能性を秘めていました。
しかし、五条が悠仁を助けた理由は、本当にもう一人の強力な味方が欲しかっただけなのでしょうか。
五条は悠仁の死後、珍しく感情をあらわにしました。
五条のいつもの軽薄な態度は怒りに変わり、五条の目には悠仁は単なる駒ではなかったことがうかがえます。
五条には強力な味方になる弟子がたくさんいるのですから、悠仁が呪術界を変える計画の一部に過ぎないのなら、五条が怒る必要はありません。
悠仁の死後、手を握りしめる五条の姿
五条は拳を握りしめながら、悠仁がいかに自分と同じように強くなる可能性を持っているかを語ります。
いつもはのんきな呪術師が、珍しく感情をあらわにしました。
五条は悠仁に力をつけさせ、上層部を倒すことを望んでいますが、悠仁の命を守ることも考えているように見えます。
悠仁は、五条にとって利用するための単なる駒ではないのです。
今は憶測でしかありませんが…
呪術界の上層部が五条の子供時代を台無しにしたのは、強力な潜在能力に執着して、五条がまだ子供であることを忘れてしまったからではないでしょうか?
それが五条の上層部に対する憎悪の源であったとしても、私は驚きません。
しかし、なぜ五条は、危険と思われる力のある子供たちを特別に気にするのでしょうか。
まず、禪院家の術式を受け継いでいる恵を救いました。
次に、呪霊里香に取りつかれた憂太を救いました。
そして最後に、宿儺を始末するために処刑されそうになっている悠仁を救います。
さらに、宿儺が悠仁を復活させた後、五条は悠仁が再び狙われる前に基礎訓練をしたいと言います。
五条が、強力な若い呪術師たちに子供時代の喜びを経験させるために特に努力しているのは、彼の子供時代の経験と関係あるのだと考えるのは難しいことではないでしょう。
シリーズを通して、呪術界の上層部が幼い頃から五条を拘束していたことを示す大きなヒントがあります。
おそらく、五条は生まれたときから、子供の頃から特級に分類され、監視されていたのでしょう。
また、幼少期から危険物扱いされたことで、五条のこころにダメージが残ったとも考えられなくはありません。
そして、五条は呪術高校の教師という立場を利用して、強力な呪術師を育てるだけでなく、「強すぎる」と判断されたことで苦しむ子供たちを生み出さないようにしているのかもしれません。