Otakon(米国ワシントンDCで毎年夏に開催されるイベント)での最新情報に明るい人なら、 Discotekが『チャージマン研!』のブルーレイのライセンスを取得したことを聞いたことがあるでしょう。
この事自体は、Discotekが様々なライセンス契約を結んでいる事を考えると、特に驚くほどのことは無いように思われます。
しかし、この作品には特別な注目が集まっているのです。なぜかって? ホント、一体何なのでしょうか?
ウーン、説明するのは難しいです。でも、やってみることにします。気を引き締めてください。
この作品
『チャージマン研!』は1974年に、2ヶ月間にわたって全65話が放送されたアニメです。1話完結型の10分枠で、泉(いずみ)一家、特にスーパーヒーローでもある10歳の少年、研(けん)が登場します。
研の妹のキャロン(上の画像はナイフを持ったキャロン)、父親の博(ひろし)(上の画像はキャロンを止めている博)、バリカンというロボットもいます。ジュラル星人という宇宙人もいます。
上に挙げた紹介が、なんだか非常に曖昧でよくわからないと思われたなら、それは正しいです。それは、この作品自体がそうだからなのです。
この作品はわずかな予算で制作されたため、(意欲の出ない)ほとんどのスタッフは仕事よりも海に遊びに行くことを好んだといいます。
短期間の放送が終われば、正直なところ、この作品は時という霧の中に消えてしまい、誰の記憶にも残らないはずでした。
このMEME(ミーム)(インターネット上で拡散されて流行る、ネタのようなもの)
しかし、『チャージマン研!』は、消え去りませんでした。この奇妙な作品は、DVDボックスセットのおかげで2007年に表舞台に復活しました。
2ちゃんねるをはじめとするオンライン・プラットフォームは、すぐにこの作品に皮肉な視点からドツボにハマることになります。
やがて、その皮肉な愛は世界的なものとなり、ついにアメリカ人もこの奇妙なアーティファクト(人工物、芸術品)を発見してしまいます。
どうする事も出来ませんでした。
次に出合う作品が、どんなゴージャスなアニメーションやしっかりした脚本になっているのか、そんな事をいつも私たちは探しているにも関わらず、このような変わりダネ作品も、いつも私たちを惹きつけてくるのです。
小学生が自分の操縦する宇宙船から男を転落死させ、それがそのエピソードの大きな解決策となるなんて、普通はあり得ませんが、このアニメでは普通なのです。
もちろん、この作品は『サイコアーマー ゴーバリアン』のナック(現在の社名はICHI(イチ))が制作しています。『サイコアーマー ゴーバリアン』では、 アニメーターが手袋をはめた手でセルを切り替えているのがわかるくらいの出来でした。
どんなクオリティーか想像する余地も無いのが、おわかりでしょう。
この遺物
『チャージマン研!』への愛は近年、実にワイルドな展開を見せました。最近のブルーレイのライセンスが、そのひとつです。
もうひとつは、2019年の舞台ミュージカルで、そこでは4人の研が登場するのですが、主催者側は観客に舞台を自由に撮影し、その動画もネット等で拡散するよう奨励しています。誰もがその狂気を目にすることができるようにとのことだそうです。
かなり貧弱な制作費で作られた作品が、いつの日かアニメファンの前に再び姿を現すことがあるとは、考えただけで不思議な感じがします。しかも、その作品がどれほど皆に愛されるようになったかを考えると、さらに不思議な気持ちになります。
もしこの作品に興味を持たれたのなら、近日発売予定のブルーレイを是非チェックしてみてください!