現代は、オタク文化がかなり大胆になっています。今、アニメは大衆の目に余るほど物議を醸すものを恥ずかしげもなく描いています。
ある国では、ある特定のアニメを禁止し、人々が見てはいけないもの(それぞれの国の検閲委員会によって異なる)を見るのを防いでいます。
ロシアが実写を残酷だからと禁止した時や、アメリカの政治家がアニメを性的描写があるからと禁止しようとした時など、私たちはそのすべてを目にしてきました。
そこで、ここでは、自国の国民にとってあまりにデリケートであるため、その国の当局が禁止した15のアニメ作品を紹介してみることにします。
下にあるのが、世界各地で放送が禁止された15のアニメ作品です。禁止された理由も見ていくことにします。
『少女椿』(しょうじょつばき)
国 :世界のほぼすべての国
理由:残酷、性的、小児性愛
『少女椿』は、高校生のみどりが母親を亡くし、生活のためにサーカスで働かなければならなくなった物語を描いています。
このサーカスでは、何もかもがメチャクチャ。サーカスで働くことになったみどりは、サーカス団員から演技を命じられ、日々苦しめられています。
肉体的にも精神的にも酷使され、逃げ場がありません。ある日、一人のドワーフがみどりに、この地獄から抜け出して一緒に幸せに暮らさないかと持ちかけます。
果たして、みどりの運命は変わるのか、そして幸せは訪れるのか!
『少女椿』が世界中でほとんど禁止されている理由は自明の理です。それは、タブーに近い感じのする「流血、殺人、暴力」があるからです。
幼い女の子が肉体的にも性的にも虐待されているのを見ると、これはもう気味が悪くて見てられない!ということになります。
なので、この作品をネットでたまたま見つけても避けた方が無難です。
『終末のワルキューレ』
国 :インド
理由:神が正しく描かれていない
『終末のワルキューレ』は、人類が生き残るための最後のチャンスを描いた物語です。
様々な神話の神々は1000年ごとにラグナロクと呼ばれるトーナメントを開催し、最強神からなる戦士達と人類のチャンピオン達を一対一の戦いで戦わせ、人類の運命を決めます。
この作品では、ユニークな力と能力を持つ人間のチャンピオンチームに焦点を当て、時代を超えた戦いで神々と対決するために準備を進めています。
インドでの『終末のワルキューレ』の放映禁止理由は、かなり明白でした。ヒンドゥー教の神の一人であるシヴァ神が、ほとんどの時間笑っている自由奔放な神として描かれているからです。
Universal Society of Hinduismの会長は、本作アニメは彼らの神々を軽んじているとして、このアニメを禁止しました。この作品はNetflix Indiaから削除されたほどです。
『進撃の巨人』
国 :中国
理由:子供にはグロテスクすぎる
『進撃の巨人』は、巨人と呼ばれる人を食う巨大生物から自らを守るため、3つの巨大な壁で囲まれた都市に人類が住んでいる世界が舞台です。
巨人の襲撃により故郷が破壊され、母を食い殺されたエレン・イェーガーが物語の主人公で、彼は巨人を一匹残らず駆逐することを決意します。
MAL(MyAnimeList)で今一番人気のアニメ作品『進撃の巨人』ですが、あと数日で最終シーズンを迎え、クライマックスに突入します。
アニメで描写されるグロテスクな暴力や流血は、子供には不適すぎるとして、中国では放送禁止になっています。
中国では、『進撃の巨人』は、2015年に他のアニメ30作品(『DEATH NOTE』、『ハイスクールD×D』など)と共に、第2期以降禁止されています。
これは、作品が悪意に満ちているからという理由で禁止されたのではなく、中国がデジタルメディアに関して厳しい規制を設けているからだと思われます。
『ヘタリア Axis Powers』
国 :韓国
理由:自国のイメージが不愉快
『ヘタリア Axis Powers』は、第二次世界大戦後を舞台に、さまざまな国を擬人化したキャラクターが登場します。擬人化されたキャラクターは、それぞれの国や歴史的な出来事を紹介していきます。
この作品では、それぞれの文化や国のアイデンティティを多少誇張したステレオタイプをしばしば用いながら、これらのキャラクター間の絡みを、コメディタッチで、そしてしばしば風刺的に描いています。
『ヘタリア Axis Powers』は、作品中の自国のイメージが物議を醸したため、韓国では放送禁止となりました。韓国は作品の中で日本とかなり友好的な人物でしたが、これは一部の韓国の視聴者にとってはかなり不快なことでした。
第二次世界大戦後、日本と韓国は分裂し、以降、2国間は、それほど良い歴史を持っていなかったため、作品中の描写は正しくないとされたのです。
制作側は、韓国キャラを作品から削除しましたが、それだけでは不十分だったようで、韓国は作品全体を禁止しました。
『キン肉マン』
国 :フランス
理由:ナチ(ナチスドイツ)の間違ったイメージ
キン肉マンは、ドジな超人レスラー、キン肉マン、またの名をキン肉スグルの冒険を描いています。キン肉マンは、仲間の超人レスラーとともに、悪の勢力と戦い、世界を破滅から救います。
この作品は、ユーモラスなトーン、アクション満載のストーリー、そして大げさなプロレス技で知られています。
キン肉マンがフランスで放送禁止になったのは、とてもつまらない理由からでした。ブロッケンJr.というキャラクターがナチの制服を着ていたのです。
このキャラクターはナチの信条に賛同しておらず、好感度の高いキャラとして描かれていたものの、ナチのイメージは依然として不適切で不快なものであると判断されたのです。
このため、フランスではこのアニメの放映が禁止され、このキャラクターもナチ論争に巻き込まれて商品化されることになりました。
『ポケットモンスター』
国 :サウジアラビア
理由:キリスト教とシオニズムの推進
『ポケモン』は、ポケモンマスターを目指す少年サトシの冒険を描いています。サトシは、様々なポケモンと出会い、他のトレーナーと戦いながら、自分のスキルを高め、新しいポケモンを捕まえていきます。
サトシは忠実なピカチュウの助けを借りて、ポケモンの世界のさまざまな地域を旅し、新しいチャレンジに挑戦し、新しい友人を作っていきます。
ポケモンは最近、25年ぶりにアニメが完結したばかり。サウジアラビアでは、かなり奇妙な理由で放送が禁止されました。奇妙な理由と言えば、ポケモンのカードゲームは、なおさらでした。
カードを使った人間同士のギャンブルに関わるということで、このゲームが禁止されることになったのです。また、サウジアラビアの当局は、この作品がなぜかキリスト教を推進していると断定しましたが、誰もその理由を特定することはできていません。
『いぬやしき』
国 :ロシア
理由:年齢制限が無い
『いぬやしき』は、癌を患い、家族や社会から疎外されていると感じている中年男性、犬屋敷 壱郎(いぬやしき いちろう)の姿を描いています。
ある夜、彼は突然、超人的な能力を持つサイボーグに変身してしまいます。犬屋敷は、同じくサイボーグの皓(ひろ)と一緒に、新しい力を使って人々を助けようと決意し、不本意ながらヒーローになります。
しかし、皓の動機はより邪悪で、結局、2人のサイボーグは互いに衝突し合うことになります。
『いぬやしき』は、そのグロテスクな内容にもかかわらず、年齢制限を設けていなかったため、ロシアで放送禁止となりました。この禁止令は、2018年にロシア政府のメディアや通信を規制するRoskomnadzor機関によって出されたと言われています。
幸いにも、同作品が年齢制限を追加したことで解禁となりました。
『こどものじかん』
国 :アメリカ合衆国
理由:小児性愛
『こどものじかん』は、小学校の新任教師・青木 大介(あおき だいすけ)が3年生のクラスを受け持つことになり、彼に思いを寄せる少女・九重 りん(ここのえ りん)も登場する物語です。
この作品は、愛、性的関心、そして個人の成長というテーマを探求しています。
上に挙げたあらすじを見れば、なぜこのアニメが世界の一部地域で放送禁止になっているのかがわかると思います。また、エッチなアニメなので、少女のヌードが描かれており、いろいろな意味で小児性愛の一線を越えています。
面白いことに、このアニメの原作(マンガ)は連載を続けていました。それでも、この論争の後、その連載は打ち切られ、この作品の物理的な単行本はもう印刷されていないことになります。
『ハイスクールD×D』
国 :ニュージーランド
理由:露骨なヌード
『ハイスクールD×D』は、変態高校生・兵藤 一誠(ひょうどう いっせい)が、初デートで女の子に殺されるも、リアス・グレモリーという悪魔に蘇らされるという物語です。
一誠はリアスの悪魔一族に勧誘され、悪魔となり、人間と超常的な生物が共存する学校、駒王学園に通うようになります。
悪魔、天使、堕天使の世界を知るにつれ、一生は危険な戦いや恋愛に巻き込まれながら、仲間を守り、自分の力の真相を明らかにしようとします。
『ハイスクールD×D』は露骨なヌード描写があり、若年層にとって健全とは言えない、アニメーHENTAIボーダーラインの作品です。
ニュージーランドも同じ見解で、同国のFilm and Literature Classification局は2013年にこのアニメを禁止しました。この禁止令は、この国ではまだ機能しています。
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』
国 :オーストラリア
理由:露骨なヌード
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』は、ゲーム「クロスレヴェリ」に明け暮れ、マスターとなった10代の少年、坂本 拓真(さかもと たくま)の物語です。
ある日突然、拓真は、このゲームの世界に召喚転生させられてしまい、召喚した拓真を奴隷にしようとする2人の女性シェラとレムに出合います。
ゲーム内で最強のプレイヤーだった拓真は、彼女たちの奴隷化魔法を反転させ、この二人の少女を逆に彼の奴隷としてしまいます。
そこで、二人の奴隷化の呪文を解いて、転生された新世界を旅しようとする主人公の生活が始まります。
『ハイスクールD×D』と同様、このアニメもまた、若者には刺激が強すぎる、アニメーHENTAIの境界線上のシーンがいくつか登場します。
オーストラリアは検閲委員会も厳しく、この作品ではヌードシーンが非常に露骨なので、このアニメの検閲に関して一つの結論を出す以外に、特に何もすることが無かったかと思われます。
オーストラリアClassification Boardは、2019年にこのシリーズを禁止しました。
『クレヨンしんちゃん』
国 :インド
理由:子供に悪影響、ヌード
『クレヨンしんちゃん』は、いたずら好きで、ありのままに生きる幼稚園児、野原 しんのすけ、通称しんちゃんの冒険を描いています。
この作品は、現代日本社会を風刺したユーモアで知られ、しんちゃんの家族、友人、近所の人々など、幅広いキャストが登場します。
この作品は、しんちゃんが日常生活を送る様子を描いたもので、しんちゃんは、しばしば破天荒な行動をとり、トラブルに巻き込まれていきます。
『クレヨンしんちゃん』は、親が子供に悪いと思うテーマを描いているとして、インドで放送禁止になりました。正確には、インドのケーブルテレビネットワーク(規制)法に違反し、2008年に放送が禁止されました。
幸いなことに、この禁止令は短期間で終わり、アニメは大幅に検閲・編集された後で、1年後にインドに戻り、放送が再開されました。
『東京喰種トーキョーグール』
国 :ロシア
理由:食人、流血
『東京喰種トーキョーグール』は、ある女性グールとの出会いによってハーフグールになった大学生、金木 研(かねき けん)の物語です。
グールと人間が共存する危険な世界で、敵対するグール、人間の捜査官、有力な組織など様々な敵と戦いながら、金木は自分の新しいアイデンティティを受け入れようと奮闘します。
『東京喰種トーキョーグール』は、その血なまぐさい描写と、いくつかのエピソードで描かれる食人のシーンが原因で放送禁止となりました。
この禁止令は、ロシアのサンクトペテルブルク裁判所が、このアニメは普通のまともな人の頭脳には適さないという理由で出したものです。
ロシアのアニメファンは、このアニメの放送禁止を「皮肉すぎる行為」と考え、評価しませんでした。
『DEATH NOTE』
国 :中国
理由:子供に悪影響
『DEATH NOTE』は、名前を書くと誰でも殺せるという不思議なノートを手に入れた高校生の夜神 月(やがみ ライト)が、そのノートを使って世の中の犯罪者を抹殺しようとする物語です。
そのノートに取りつかれたように、世の中から犯罪者をなくそうとするライトは、やがてL(エル)と呼ばれる名探偵の目に留まり、Lはライトを止めようとするのですが……。
この犯罪小説はどのような結末を迎えるのでしょうか?
『DEATH NOTE』は、中国、特に広州省で、ある行為が原因で放送禁止になりました。この省の高校では、子供たちが「デスノート」ラベルのついた本を作り、気に入らない生徒の名前を書き込んでいたのです。
これが一部の生徒を怖がらせるようになり、同省はこの作品を禁止するようになりました。ただし、『DEATH NOTE』は中国全土で禁止されているわけではありません。
『超電磁マシーン ボルテスV』
国 :フィリピン
理由:暴力を助長する
『超電磁マシーン ボルテスV』は、悪のボアザン帝国から地球を守るため、若きパイロットたちからなるボルテスチームの物語を描いています。
健一(けんいち)率いるチームは、5つの強力なマシンを組み合わせた巨大ロボット「ボルテスV」を操縦し、プリンス・ハイネルとその手先が率いるボアザン軍と戦い、地球を破壊から守ります。
『超電磁マシーン ボルテスV』の放送禁止は、おそらくこのリストの中で最も興味深いものです。本作は1970年代に日本で放映され、フィリピンでも放映されました。
フィリピンでは非常に高い人気を得ましたが、当時のフィリピン大統領フェルディナンド・マルコスは本作を「危険」と判断し、禁止令を出しました。
しかし、大統領任期終了後に禁止令が解除されると、このアニメはフィリピンで一躍有名になりました。フェルディナンドが禁止したこのアニメは、現在では言論の自由の象徴とされています。
『A KITE』(ア カイト)
国 :ノルウェー
理由:性的・暴力的コンテンツ
『A KITE』は、孤児として悪徳刑事に引き取られた少女、砂羽(さわ)の物語です。砂羽は刑事から暗殺者としての訓練を受け、その腕前で犯罪者を追いつめ、抹殺していきます。
その過程で、同じように悲惨な過去と復讐心を持つ青年、音不利(おぶり)と出会います。二人は同じ過去に隠された謎を解き明かし、自分達を陥れた者たちを倒すために奔走します。
『A KITE』は2本のOVA作品で、非常に短いにもかかわらず、 Child Sexual Assault Material (CSAM)の法律に違反するとして、ノルウェーでは放送禁止となりました。
1990年代後半にノルウェーで禁止されたのは、この作品に存在する流血描写と性的描写のコンテンツが理由です。
2003年に禁止は解除されましたが、ノルウェーではこの作品が物議を醸しているため、誰もこの作品を普及させようとはしていません。