なぜ多くのアニメにビーチエピソードがあるのか、不思議に思ったことはありませんか?
私たちと一緒に、このお約束事を探求してみましょう!
多くのアニメには、様々な理由で話数を稼ぐための回が存在します。多くのアニメで遭遇するビーチエピソードは、絶好の話数稼ぎ回です。
そこで、アニメのビーチエピソードでのお約束事について、そしてなぜそれがこんなに普及しているのか、詳しく調べてみましょう。
- 1. アニメにおけるビーチエピソードとは?
- 2. なぜアニメにはビーチエピソードがあるのか?
- 3. プロットがハネる前の息抜きとして
- 4. ユーモアとキャラクターたちが互いに絡み合う機会として
- 5. 話数制約の調整策として
- 6. テレビの中で現実感を味わえるものとして
- 7. ファンサービスとして
- 8. アニメでのビーチエピソード例
- 9. ベストビーチエピソード
- 10. 『フルーツバスケット』
- 11. 『Another』
- 12. ボーナス! 『アバター 伝説の少年アン』
- 13. ワーストビーチエピソード
- 14. 『ひぐらしのなく頃に 礼』
- 15. 『探偵はもう、死んでいる。』
- 16. 『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
アニメにおけるビーチエピソードとは?
ウェブサイトTv Tropesによれば、ビーチエピソードを 「キャラクターたちが休憩を取り、ビーチやプールに行き、濡れて水しぶきがかかるような楽しみをすることにしたエピソード」と定義しています。
ほとんどの場合、これらのエピソードは、キャラクターたちの冒険の一時休止として機能し、プロットをあまり進めないための、話数を埋めるための回となっています。
なので、海辺がアニメ全体の舞台である場合、どのエピソードもビーチエピソードとは言えなくなります。
同じく、あるキャラクターが冒険をしていて、重要なプロット上の理由で海辺に行くことになった場合も、ビーチエピソードにはなりません。
なぜアニメにはビーチエピソードがあるのか?
アニメにビーチエピソードがある理由は、アニメにフィラー(話数を稼ぐための回)がある理由とほぼ同じです。
もちろん、ビーチエピソードが1つあるからといって、そのアニメがフィラーだらけであることを自動的に意味するわけではありません。
ビーチエピソードは、数あるフィラーの中の一つであることもあれば、12話のアニメの中で唯一のものであることもあります。
ここでは、制作者がビーチエピソードを追加することを選ぶ理由を紹介します:
プロットがハネる前の息抜きとして
世界を救うというのは骨が折れるものだし、止むことの無いアクションが連続して続くプロットは疲れるものです。
時には、架空のキャラクターでさえも休息が必要だし、視聴者も息抜きをして、キャラクターが自分たち同様、何かに楽しむ人々であることを知る必要があるのです。
ユーモアとキャラクターたちが互いに絡み合う機会として
この点は、上記の点と関連しています。ビーチエピソードは、プロットの展開から離れるだけでなく、視聴者がキャラクターをより深く知るための機会でもあるのです。
キャラクターの成長はプロットの一部として系統的に行われるべきですが、ある種のキャラクター同士の絡みは、リラックスした瞬間にのみ行われるものです。
例えば戦闘のピーク時に、ビーチエピソードでキャラクターが楽しんでいるのを見ていなければ、意味をなさなかったであろうキャラの側面が、見えてくる場合もあります。
さらに、ビーチエピソードは、(それまでのエピソードでキャラ同士の絡みが少なかった場合、)それを補う会話やユーモアのある絡みの場としても活用できます。
話数制約の調整策として
アニメがワンクールの場合、全12話が主流です。
もし、(プロットの)統一性を保つため、又はマーケティングの都合上、(全12話ではなく)ある話数が最適で、しかもすべてのプロットがきちんと描写される必要があったとします。
それでも全12話構成に合わせる必要があった場合、そんな時こそ、ビーチエピソードの伝統に則ったフィラーが検討されることがあるのかもしれません。
テレビの中で現実感を味わえるものとして
日本は他の多くの国と同じように、夏になると海に行けるような気候になっています。
海水浴は、夏の風物詩として多くの人に親しまれているため、アニメのキャラクターが海水浴することは、シンプルに現実的です。日常系作品では、特にそうです。
ファンサービスとして
残念ながら、アニメの中には、ビーチエピソードを過剰なファンサービスの言い訳に使っているものがあります。ほとんどのキャラクターが水着を着ているためです。
ちなみに、ビーチエピソードという言葉は、日本語では「水着回」と呼ばれることが多いです。
特に女性キャラクターの危ういショットは、その程度にもよりますが、本当に気が散ってしまうものです。
とはいえ、ビーチエピソードを持つすべてのアニメが、ファンサービスに偏りすぎてるわけではありません。
アニメでのビーチエピソード例
1990年代にはすでにその伝統が確立されていたため、思いつく限りの大作アニメのほとんどに、ある時点で何らかのバリエーションの大作(ビーチ)エピソードが存在します。
アニメの中には、ビーチエピソードを取り入れるのがとても上手なものがあります。一方、そうでないものもあります。
ベストビーチエピソード
多くのアニメは、キャラクターやプロットを損なうことなく、あまり邪魔にならず、ビーチエピソードを話数に追加することに成功しています。
多くの場合、ビーチエピソードは、作品全体の雰囲気やノリに合うように微調整されているので、海辺での休息がまったくの場違いなものになることはありません。
作品の中には、プロットから離れるこの機会を利用して、キャラクターを大きく成長させているものもあります。
『フルーツバスケット』
『フルーツバスケット』は、ビーチ編をメインプロットにうまく組み込んでいます。
キャラクターがいつもの環境から離れ、学校での悪ふざけも、一時期的に無くなったものと思いきや、感情の起伏の揺さぶりの強烈さは無くなっていませんでした。
草摩(そうま)家の海の家で繰り広げられるエピソードには、他の場所では見られないような楽しさや心温まる場面がたくさんあります。
また、キャラクターたちが協力して透(とおる)に水着を買い与え、透の心を動かすなど、家族を見出す事や優しさという中心的なテーマもそこにあります。
さらに重要なのは、『フルーツバスケット』のビーチ編で、 慊人(あきと)の行動の動機に光が当てられたことです。
これにより、草摩家の当主、慊人がいかに危険であるかを、透も十分理解することになりました。
『Another』
『Another』のビーチエピソードは、メインプロットから離れていながら、何か恐ろしいことが起こるということで悪名高いです。
このホラーアニメの凄惨極まる死に方は、一部の視聴者には残酷過ぎて、ビーチエピソードの存在そのものが、ファンを困惑させるものでした。
でも、ビーチで楽しそうにしているキャラクターを見ていると、ちょっと息抜きができますよね。
しかし、そんな中でも『Another』は、メインプロット同様、ビーチでの不条理な恐怖を打ち立ててきます。少し大げさなのは確かですが、少なくとも、作品全体の一貫性はありました。
ボーナス! 『アバター 伝説の少年アン』
『アバター 伝説の少年アン』は上記のようなアニメではありませんが、ビーチエピソードをはじめ、いくつかのアニメの手法や様式を採用しています。
この作品では、ビーチエピソードが最終決戦に近い位置に配置され、小さいながらも重要なキャラクターの成長が描かれているので、特に良い回になっています。
ワーストビーチエピソード
作品によっては、ビーチエピソードは、過剰なファンサービスのため、あるいは作品の雰囲気に合うように十分な調整作業が行われなかったために、場違いな、ありがた迷惑なものに感じられることもあります。
『ひぐらしのなく頃に 礼』
『ひぐらし』は、その暗くて恐ろしい雰囲気で有名です。確かに、作中、明るい場面もいくつかありますが、それは短いもので、あっという間に恐ろしいものに変わってしまうのです。
これを知っていると、第3期の第1話、つまり今問題にしているビーチエピソードは、ファンサービスの要素はあっても、ホラーの雰囲気は全くなく、まるで別世界のように感じられます。
確かに、恐怖が発生してても気づかなかっただけかもしれませんが、全体的に『ひぐらし』にとって、ベストタイミングではありませんでした。
『探偵はもう、死んでいる。』
『探偵はもう、死んでいる。』では、大量のファンサービスと、それ以外ではほとんど内容のないビーチエピソードが登場しました。
もちろん、視聴者の中には、作品全体がそういう感じ(ほとんど内容がない)ではないか、と指摘する人もいるでしょうから、ビーチエピソードのみが大きくトーンダウンしているとは言えないのかもしれません。
ただ、一つ言えることは、ビーチエピソードとしては最高ではないということです。
『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』もまた、ビーチエピソードで完全に脱線してしまったアニメの一例です。
ビーチエピソードに巧みにホラーを取り入れ、キャラクターが安全な場所など存在しない事を思い出させせてくれた『Another』とは異なり、本作でのビーチエピソードは、ゾンビによる世界崩壊の危機が迫っていることを完全に忘れているようです。
さらに悪いことに、すでに本作において懸念されていたファンサービスがさらに強化され、ビーチエピソードは、あまりにも多くの不必要なシーンが含まれ、まるでAVのように感じられるほどです。