アニメを作るにはどうしたらいいのか？ この作品は、その内幕を最もよく表しているのかもしれません。
多くのアニメファンがアニメを見ることが好きな一方で、その大半はアニメがどのように作られたかを考えることにあまり時間を割いていないというのが現実です。
アニメーターの非人道的な労働条件や、Crunchyrollの反組合的な姿勢による声優の問題などが、徐々に一般的になっては、きています。
しかし現実には、何十年もの間、アニメファンは自分のお気に入りの作品の制作プロセスについて、あまり考えたことがなかったのだと思います。
これは、彼らの多くが海賊版を特に何か思うことなく利用してきた理由の一つです。：アニメは、人間が血と汗と涙を流して作ったものではなく、宙に浮いている魔法のようなものだったという事です。
アニメ制作に関して、我々が今知っているような厳しい現実があることを考えると、当のアニメーターたちはアニメ制作の仕事をエンターテインメントにするような作品は作りたくないと思うはずです。
しかし、実際には、アニメ制作についての作品は、これまで何度か作られてきました。が、それらの中で、幅広い人気を集めたものは、ほとんどありませんでした。
そんな中、批評家から絶賛されただけでなく、アニメ業界の問題点を浮き彫りにしつつも、見ていてそこまで気が滅入ることの無い作品が一つだけありました。
それが『SHIROBAKO』です！
『SHIROBAKO』は、どんな作品？
『SHIROBAKO』は、アニメを制作するスタジオを描いたアニメです。主人公の宮森 あおい（みやもり あおい）は、10代の頃にアニメ制作を夢見ていました。そして実際に、アニメの制作進行になった女性です。
彼女の仕事は、監督のモチベーションを高めたり、重要なシークエンスを作画するアニメーターを探したり、作品番組の放送に間に合うように完成したエピソードをテレビ局に届けたりすることです。
作品名の由来は、あおいがテレビ局に納品するエピソードのテープが白い箱（SHIROBAKOとは、日本語で白い箱を意味します。）であることによります。
本作の何が素晴らしいのか？
『SHIROBAKO』がアニメファンにとって、見て面白い作品となっているのは、アニメ制作の厳しい現実から逃げていないからです。あおいは常に過労とストレスにさらされています。
彼女には、ボーイフレンドもいないようだし、他のスタッフのほとんどは、家族とあまり会えていないことを常にコメントしています。彼らが休日を楽しむ姿や、机の上以外で寝ている姿が描写されることは、ほぼありません。
また、アニメの監督が絵コンテに行き詰まると、あおいは良い絵コンテができるまで、彼を部屋に閉じ込めてしまいます。
これらの辛い話は、アニメでは笑いを誘うよう作られていますが、このようなシーンには真実を写す核があるように感じられます。
辛い話が深刻になり過ぎることはありませんが、彼らの仕事には多くの人が思っているよりもはるかに多くの時間が必要であることを根底で表現しているのです。
しかし、この作品は、視聴者が彼らが可哀そうだと同情するするような作りにはなっていません。それどころか、彼らはアニメ制作に携わっていることでHAPPYなのです！
彼らの多くは、アニメのおかげで成長できて幸せで、そして新しい世代の視聴者が、アニメを通して新しい思い出を作ることができることを、何よりも喜んでいるのです。
さらに、アニメというものを世界的に有名にした、著名なクリエイターや作品にオマージュを捧げており、ファンにとっては、そのオマージュ元の実在する著名人や作品に思いをはせることができるのも楽しみのひとつです。
『SHIROBAKO』は、多くの人に楽しんでもらえる作品です。それは、人によって楽しみ方の意味が異なるからです。
本作を、アニメという制作する側にとって過酷なビジネスに対する、制作側からのコメントとして捉えたり、あるいは、多くの人々を幸せにするアニメというメディアに対する愛情深いオマージュとして捉えることもできます。
どちらの形式でもうまく機能することが、この作品の天才的なところです。
視聴可能か？
皮肉なことに、『SHIROBAKO』はもともとCrunchyroll（配信する番組を作る人々の生活を向上させることができないとして非難を浴びている会社）で同時配信されていました。
でももうそこにはないので、本作を購入したい方は、Sentai Filmworksからコレクター向けの優れたブルーレイが発売されています。
『SHIROBAKO』の映画（タイトル：劇場版「SHIROBAKO」）は現在、TubiとPlexで無料配信されており、またEleven Artsからブルーレイの発売が決定しています。
現在、本作をストリーミング配信で視聴できる便利な方法がないのは残念ですが、多くの批評家が「アニメ制作に関する最高のアニメ」と評した本作を鑑賞することに興味があれば、少なくとも、購入する方法はあります。
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